「全方位」な姿勢が仲間や協力者を生み出す

この「全方位」で好印象を持たれる姿勢は、おそらく誰もが目指したいことかもしれません。ただ、ビジネスシーンにおいて「全方位」を意識したスタンスは、全員にこびている八方美人という印象にもつながりやすく、周囲にはその様子自体を好ましく思わない人も出てくることでしょう。そう思われるのが嫌だったり、もしくはその気づかいが面倒だったりで、仲の良い理解者との関係さえ構築できていればなんとかなる、と日々をやり過ごしている人も多いのかもしれません。

ですが、今や社会環境が一変しました。コロナウイルス禍により、多数の会社でテレワークが推進され、フレックス勤務が取り入れられ、仕事仲間と接する機会や時間は限られてきています。さらに、デジタル化、AI化の流れのなかで、雇用市場も淘汰が進む変革期を迎えました。個人のキャリアにおいても、過去の延長線上でしか物事を考えられないままだと、時代に即した活躍人材にはなり得ないのです。

実際、「全方位」の努力をしている吉高さんは、延期や中止で作品数が減っている映画やドラマの世界において、継続的な活躍ぶりを見せています。

もちろん、仕事で自身の成果を出すことが前提ではありますが、変化を乗り越えるためには、当然のことながら仲間や協力者の存在が必要です。そのためには「全方位」で見渡し、協力者をどれだけ巻き込めるかがカギとなってきます。それはある種の「好かれる力」をどれだけ発揮できるか、ということでもあります。

あくまで目的は、仕事において成果を出すことであり、多くの人からちやほやされ好かれるためではありませんから、仕事と真摯に向き合い、チームや組織に貢献している姿勢に一貫性があれば、周囲も自然と味方になってくれるはずです。

吉高さんはハリセンボンの近藤春菜さんを始め芸能界に友人や味方も多いようです。これから女優としての経験を積んでいくなかで、周囲の変化を把握しながら、年齢に合った「好かれる力」を「全方位」で発揮していくことと思います。

その変遷は、女優のお仕事に限らず、様々なビジネスシーンや、現場の環境づくりの観点からも、一つの好事例として、ひき続き注目していきたいと思います。

鈴木ともみ
 経済キャスター。国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。JazzEMPアンバサダー、日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。地上波初の株式市況中継番組を始め、国際金融都市構想に関する情報番組『Tokyo Financial Street』(STOCKVOICE TV)キャスターを務めるなど、テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへ出演。雑誌やニュースサイトにてコラムを連載。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。

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