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ポテサラはロシア発祥 日本で進化したおいしいワケ

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NIKKEI STYLE

ボンジュール! パリからお届けする「食の豆知識」。今回のテーマは「ポテトサラダ」。日本人の食生活に欠かせない総菜だ。家庭料理にとどまらず、外食、中食でも定番メニューの一つだろう。そんなポテトサラダをめぐって、少し前に日本中を席巻した「ポテトサラダ論争」を記憶している方も多いのではないだろうか。

きっかけは、SNS(交流サイト)に寄せられた一つの投稿だった。その内容は、「食品売り場の総菜コーナーで、総菜パックを手にした幼児連れの女性に対し、高齢の男性が『母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ』と言い放ち立ち去っていく姿を目撃した」という投稿者が、「パックを手にしてうつむいたままの女性に対して、大丈夫ですよと念じながら女性の目の前でポテトサラダを2パック買った」というものだ。

この投稿は、またたく間に拡散され、多くのメディアでも取り上げられて全国に反響を呼んだ。コメントの多くは、この発言をした高齢男性に対する落胆と非難の声、そして投稿者および幼児連れの女性に対する共感と応援の声だ。「ポテトサラダは一見簡単なようで意外に作るのが難しく、手間がかかることを分かっていない」という料理および家事の大変さに対する理解のなさ、あるべき母親像や「手作りこそ愛情、買った総菜は手抜き」という価値観の押しつけに対する非難などが寄せられた。そしてさらにその1カ月後には、冷凍ギョーザを「手抜き」と呼ぶ夫に対する妻の投稿でも同じような論争が起こり、日本社会におけるこのトピックへの関心度の高さがうかがえる。

この論争がここまで大きく発展したのは、日本人にとって、ポテトサラダが小さい頃から慣れ親しんできた、とても身近な食べものの一つとして認知されているからだろう。そのポテトサラダの起源はいかに? 日本では「ポテトサラダ」といえば、一般的にゆでてつぶしたジャガイモに野菜やハムなどの具材を合わせて、マヨネーズであえたものをいう。ということで、1925年に日本初のマヨネーズを発売し、ポテトサラダに関しても長年にわたり研究を重ねてきたキユーピーにうかがった。

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「ポテトサラダの起源は、諸説ある中でも、19世紀にモスクワのレストラン『エルミタージュ』のシェフ、リュシアン・オリヴィエが考案したオリヴィエ・サラダ説が有力です」(キユーピー広報・グループコミュニケーション室の森田里佳さん)。

FAOSTAT(国際連合食糧農業機関統計データベース)によると、2018年度のジャガイモの世界生産量は、1位中国、2位インド、3位ウクライナで、ロシアはそれに続く世界第4位のジャガイモ大国だ。そしてこの「サラダ・オリヴィエ」、パリ市内、筆者宅近所のロシアレストランのメニューにも、前菜の一番上に載っているではないか。

ロシア発祥のポテトサラダは世界各国に広がり、国ごとに独自のレシピを発展させたという。例を挙げてもらうと、「たっぷりの酢を効かせた野菜サラダにポテトを加えたイメージの『アメリカ風ポテトサラダ 』、ミルクやマヨネーズ、野菜やリンゴの角切りを混ぜた『上海ポテトサラダ 』、タラコが特徴の『タラモサラダ』はギリシャ、トルコの家庭料理です」(森田さん)

ここフランスにもゆでたジャガイモを使ったポテトサラダはあるが、基本的にマヨネーズを使わずにオイルとワインビネガー、マスタードなどであえることが多く、よりさっぱりとした味わいだ。私がマヨネーズを使って日本風ポテトサラダを作ると、決まって仏人配偶者は「これはジャガイモのサラダでなく、ピュレ(加熱した野菜や肉などをつぶしたり、ミキサーにかけたり、裏ごししたもの)だな」と言う。日仏の食文化の違いを感じるときだ。

一方、日本ではどう発展したのだろう。森田さんによると「日本では、大正時代に帝国ホテルでポテトサラダが考案されました。当時はハイカラな高級料理だったと想像できますが、戦後日本人の食生活ががらりと変わるなかで、学校給食にもキャベツ入りポテトサラダが登場するにいたり、日本独自の味に進化していきます」。

なぜ米食中心の日本でこれほどポテトサラダが好まれたのか、きっとマヨネーズにもなにかこだわりがあるに違いない。「海外では全卵タイプが主流ですが、当社の『キユーピーマヨネーズ』は発売以来一貫して卵黄タイプにこだわっています。卵黄タイプのマヨネーズはコクがあり、うま味が強いことが特徴で、海外でも人気があります。そしてこのこだわりこそが味噌やしょうゆのように『ご飯に合う味』を作りだしてくれるのです」(森田さん)。

また、マヨネーズに欠かせないのが「酢」だ。さらに聞いてみたところ、「適度な酢の酸味は食の対比効果でジャガイモの甘味を引き立て、重くなりがちな後味を引き締める効果があります。当社のマヨネーズは酢にもこだわっており、創始者が自ら思い描くマヨネーズの実現のためにキユーピー醸造という会社を作り、マヨネーズ専用のお酢を作りました。現在は、重厚なモルトと華やかな風味のリンゴのお酢をブレンドした『キユーピー マヨネーズ』専用のお酢を使用しています」とのこと。

日本のポテトサラダに欠かせないマヨネーズ。卵にも酢にも、日本人の口に合わせたこだわりがあったのだ。確かにフランスでよく売られているマスタード入りのマヨネーズは鼻にツンとくる酸味とほのかな辛味があり、日本のマヨネーズに慣れ親しんだ身にとってはいつも違和感を覚えている。

家でつくる際のコツも聞いてみた。同社サイト内にある「王道のポテトサラダの作り方」によると、最重要ポイントが「粗熱をとってから、マヨネーズであえること」とある。すっかり冷めてからあえてはだめなのだ。「粗熱を取った40度のジャガイモにマヨネーズを加えて混ぜ合わせた時が、ジャガイモとマヨネーズの両方の味をしっかり感じる」ということで、同社の研究成果として日本調理科学会でも発表されている。

具材については、「ニンジン・タマネギ・キュウリの王道具材に加え、ご当地ポテトサラダとして各地で様々な具材が使われています。例えば、北海道はカズノコ、茨城ではレンコン、京都ではしば漬け、沖縄ではゴーヤなど日本全国多岐に渡ります。ユニークなものでは、キムチ 、缶詰のミカン、トマトなど合わないものはありませんが、しいて合わせないほうがいい食材として挙げるとすれば、刺し身でしょうか。生臭みが立ちやすくなります。ただし、発酵させたイカの塩辛は相性が良く、ニシンの酢漬けなどもロシアのポテトサラダなどでは使われます」(森田さん)

最後に、冒頭の「ポテトサラダ論争」に対して、森田さんからコメントをいただいた。「共働き世代が増え、家事の考え方も変わってきています。ポテトサラダはどのような献立とも相性の良い万能副菜です。おいしく作るのが難しく、下ごしらえや時間など手間暇のかかるお料理です。うまくスーパーの総菜を活用するもよし、手作りでアレンジなどを楽しむもよし、その時の気分に合ったポテトサラダを選んでいただければと思います」。

誰が作ろうと、何を入れようと、お気の召すままに。日本独自のポテトサラダ、可能性は無限大である。相性が良いという「ポテトサラダ×イカの塩辛」をパリの自宅で自作した。これ、「北海道の人がたがしょっちゅう居酒屋で食べている裏メニューです」と三国清三シェフが動画サイトで教えてくれた「じゃがいものピュレ、道産子風」。驚きのコラボレーション、本当に日本酒に合う!パリの巣ごもり生活の楽しみがまた一つ増えた。

(パリ在住ライター ユイじょり)

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