筋肉減らさない食事のツボ 朝は手のひらサイズの肉魚筋肉とたんぱく質(中)

日経Gooday

筋肉は20~30代をピークに減りはじめるが、最近のコロナ禍による活動量の低下もあり、筋肉減少には拍車がかかるという。筋肉維持には、やはりたんぱく質が必要。(c)fotomircea-123RF
筋肉は20~30代をピークに減りはじめるが、最近のコロナ禍による活動量の低下もあり、筋肉減少には拍車がかかるという。筋肉維持には、やはりたんぱく質が必要。(c)fotomircea-123RF
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若々しい体の維持に不可欠な「筋肉」。しかし、年齢とともに筋肉量は減っていく。さらに、コロナ禍によって運動不足が続くと、筋肉減少は加速していく。「筋肉減少に歯止めをかけるには、筋肉の材料となる朝のたんぱく質摂取から見直す必要があります」と、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は言う。朝に取るたんぱく質がなぜ重要なのか、手軽に取れるたんぱく源は何かを紹介しよう。

朝食でたんぱく質が不足していると筋肉量が減る

「最近、階段を上るのがきつくて、ついエスカレーターを選んでしまう」という人は、筋肉量が減っているかも? 「筋肉は20~30代をピークに減りはじめます。40歳からは10年ごとに約8~10%、70代の10年間では15%減少します。筋肉の減少は、年齢とともに運動する機会が減るからだけでなく、ごく健康な人、誰にでも共通して起こる事実です」と、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は言う。

加齢にともなう筋肉減少に加えて、コロナ禍による活動量の低下で、筋肉減少には拍車がかかる一方だ。一念発起してジョギングなどの運動習慣を始めた人もいるかもしれないが、「朝食を抜いたり、たんぱく質を十分に取れていないと、運動の効果が得られないどころか、元ある筋肉が削られてさらに減少するリスクがあります」(藤田教授)。

運動をすると、糖質や脂質がエネルギー源として消費されるが、それだけでまかなえない場合はエネルギー源として筋肉が分解される。「運動量に見合ったたんぱく質を補っておかないと、ハードな運動をすることが筋肉減少の危険を高める要因になってしまいます」(藤田教授)。

たんぱく質は、筋肉や血管、内臓や皮膚、ホルモンや酵素といった全身の組織の材料となる。その総重量は体重の30~40%にも及ぶ。「特に、筋肉においては、水分以外の約80%がたんぱく質によって構成されています」(藤田教授)。

筋肉量の維持のためには、材料となるたんぱく質を食事から補うことが欠かせない。

さらに、近年の研究からわかってきたことがある。「一日に取る合計量よりも、朝・昼・夜の3食で均等に、十分な量のたんぱく質を取ることが筋肉合成のカギを握ります」(藤田教授)。

ドイツで194人の高齢者(75歳以上)を対象に、たんぱく質の摂取量と朝・昼・夜の摂取量の分布を評価した研究がある。朝食のたんぱく質量が不足しているとフレイル(身体的機能や認知機能の低下が見られる、介護リスクを高める状態)のリスクが有意に高くなった[注1]

では、筋肉の合成のために私たちはどのくらいのたんぱく質を取るべきなのか。

藤田教授は、「厳密に言えば、必要なたんぱく質量は、身体活動レベルや体の大きさによって人それぞれ異なります。主にデスクワークで時々軽い運動を行う人の場合、1日に必要なたんぱく質の量は体重1kgあたり約0.9g。体重60キロの人なら、1日54gが目安となります」(藤田教授)。

藤田教授が、若者を対象に、3食のたんぱく質摂取配分と筋肉量との関係を調べた研究がある(下グラフ)。その結果、「3食の食事すべてでたんぱく質摂取の基準量を達成していた群では、筋肉量(除脂肪量)が有意に高くなりました」(藤田教授)。また、同じく若者を対象にした研究で、「朝食を抜いている群は、筋肉量が少ないことも確認しました」(藤田教授)[注2]

3食ともたんぱく質摂取が十分だと筋肉量が多い

266人の健康な若い男女(平均年齢21.4歳)の筋肉量と3回の食事におけるたんぱく質摂取量の関連を調べた。被験者は、3食すべてで体重1キロあたり0.24gを超えるたんぱく質を摂取していた群と、最低1食でもたんぱく質が不足していた群に分けられた。その結果、3食すべてでたんぱく質摂取量が充足していた群は、筋肉量(除脂肪量)が有意に高かった(データ:Nutrients. 2019 Mar 13;11(3):612. )

[注1]Nutr J. 2013 Aug 5;12:109.

[注2]Nutr Res. 2018 Dec;60:26-32.

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