悪口言う人と同じ進路希望で揺らぎ女優、美村里江さん

女優、エッセイスト。埼玉県出身。2003年、テレビドラマ「ビギナー」で主演デビュー。最近では初の歌集「たん・たんか・たん」(青土社)が好評発売中。出演映画「空に住む」(青山真治監督)が公開中。

私のことを心底嫌い、悪口ばかり言っている人と同じ大学を志望していると知りました。努力を重ねて進学すると信じて疑わなかったのですが、正直、今は気持ちが揺らいでいます。自分の意思がこれほど弱いとは思いませんでした。先生、友人や家族にも打ち明けられません。どうすればこの悩みを断ち切れますか。(群馬県・10代・男性)

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大事な進路のお悩み。相談者さんは弱くも情けなくもありません。どうぞご自分を責めないでください。

自分の悪口ばかり言ってくる人間と同じ学校なんて、誰でも嫌です。大人でも同僚や上司と「合わない」という理由で、会社を移ることもあるんです。それくらい重要なことですよ。

私の実体験からオススメできることは、「現実的退避」と「直接対決」の2点です。

現実的退避は心身の安全を優先。おつらいと思いますが、単純に志望大学を変えることです。相談者さんの志望動機が測れませんが、別の大学でその志を貫くことは不可能か、まずは一度考えてみてください。

大学を卒業した方は「どの大学に入学したかより、そこでどう過ごしたかが重要だった」と口をそろえます。思わぬ別の光明が見つかるかもしれません。

ただ、この方法では、真面目な相談者さんにとっては相手から逃げたような苦い記憶になり、後々つらいかもしれません。もう1点の方法にはリスクもありますが、この「相手から逃げた感じ」だけは払拭できる可能性が高いといえます。

危険なので他者がいないとき、必ず、一対一になれるときに。怒りや悲しみの感情を一切出さず、単純な疑問として相手に問うのです。「どうして私(俺)の悪口を言うの?」と。

私はこの対決を2度したことがあります。結果、1度目は「A君があなたを好きだというから」、つまりただの焼きもち。2度目はしばらく黙りこくった後で「……何となく気に食わない」と言われ、翌日悪口がエスカレートしたので失敗したと思いました。

しかし、短期間で収束。私の中でも、耳を真っ赤にして黙ったその子の子供っぽい姿が記憶に残り、あまり脅威に感じなくなっていました。

退避でも対決でも他の方法でも、膨張した相手のイメージを適正に戻すのが鍵です。(もう少し経験を積むと、相手の本当のサイズがすぐわかるようになってくるのでお楽しみに)

選択肢は少しでも多く持ち、人生を広く大きく見直してみてください。

[NIKKEIプラス1 2020年11月21日付]


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