宇垣美里のマンガ愛 新しい価値観に真っ先に出合える

日経エンタテインメント!

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大のマンガ好きとして知られるフリーアナウンサーの宇垣美里。今最も面白いマンガと人生を語り合うトークバラエティ『あの子は漫画を読まない。』(BS日テレ)でMCを務め、『週刊文春』では「宇垣総裁のマンガ党宣言!」と題した連載コラムも持つ。マンガ愛はいかにして育まれたのか。

1991年4月16日生まれ、兵庫県出身。2014年にTBSに入社し、アナウンサーとして活躍。19年4月よりフリーに。11月に自身初の美容本『宇垣美里のコスメ愛』(小学館)を発売。自身のスキンケア法などを紹介するほか、様々なメイクに挑戦した写真を多数掲載(写真:中川容邦)

「もともと物語が好きだったので小学生の頃から自然とマンガも読むようになりました。最初は『ちびまる子ちゃん』や『金田一少年の事件簿』などを、お医者さんなどの待合室で読んだり、妹とお小遣いを出し合って買ったりして。本格的にハマり出したのは高校生くらいからですね。当時は『NARUTO-ナルト-』や『ONE PIECE』が空前のブームでした。

いろいろなマンガを読むうちに、何度も繰り返し読む大切な作品もできました。高校生の頃に出合った『窮鼠はチーズの夢を見る』は人間の業がはっきりと描かれている作品。胸が苦しくなるポイントがいくつもあるんですが、折に触れて読み返したくなります。

大学生の頃に初めて読んだ『恋愛的瞬間』は、文庫版で全3巻しかないのですが、様々な人間の関係性が描かれていて、私にとって生き方の辞書のような存在。『カードキャプターさくら』も大好きですね。初めは小学生の時にアニメで見たのですが、絵が美しいし、作品の優しい世界観には、読み返すたびに感動を覚えます」

心を救ってくれる作品も

2014年にTBSに入社し、忙しい日々が始まってからも、マンガへの愛が薄まることはなかったという。むしろ「お金を自由に使えるようになった分、マンガを読む機会は増えました」と笑う。

「絵がキレイだなと思うものは、画集を手にするような気持ちでコミックを買うこともありますが、一人暮らしを始めてからは置く場所が限られるので、スマホやiPadでの読書が中心。縦スクロールのウェブトゥーンも独自の表現があるし、物語として面白いなら横でも縦でも気にならないです。

私は小説もたくさん読むし、映画や舞台も大好きですけど、なかでもマンガは新しい価値観を真っ先に知ることができるのが魅力。例えば、『女性は絶対に結婚しなくてはいけない』とか、『男性は女性と恋をするもの』という世の中の常識とされている価値観に対し、『正解は1つじゃないし、こういう生き方もある』と新しい考え方を提示してくれるのはマンガが1番早いと思う。その表現の幅もどんどん広がっているのを感じます。

『裸一貫!つづ井さん』 “おひとりさま”を謳歌するアラサー女子のコミックエッセー。観劇に収入の大半を捧げ、オタク仲間と全力で楽しむ日々を描く。CREAwebで連載中。(既刊2巻/文藝春秋)
『バクちゃん』 著者は第21回文化庁メディア芸術祭で新人賞を受賞。異星から地球へやってきたバクちゃんの目に映る東京を描く。月刊コミックビームで連載中。(既刊1巻/KADOKAWA)
『違国日記』 年の離れた女性2人の同居物語。人見知りの少女小説家・高代槙生が、交通事故で亡くなった姉夫婦の娘・田汲朝を引き取る。フィール・ヤングで連載中。(既刊6巻/祥伝社)

最近読んだものでは『裸一貫!つづ井さん』。腐女子でオタクの主人公の日常をつづった作品ですが、自虐に走るわけではなく“毎日ハッピー”というのが嫌味なく表現されていて、人生の楽しみ方を教えてくれる。『バクちゃん』は異星からの移民が主人公のファンタジー。絵も含めてかわいい世界観なんだけど、その視点で描かれる東京での出来事がどこか悲しい。心にグサっと刺さる様な作品でした。

ヤマシタトモコさんは以前から大好きな作家さんです。『違国日記』では、人と人はどうしたって分かり合えない、孤独というのはその人だけが感じるもの、という思いを掘り下げていて、純文学のような味わいがありました。

自分ではない人生を追体験できて、『私と同じ考え方だな」と共感したり、『こういう考え方で乗り越えるんだ』と勉強したり、心を救ってもらえることもある。新しい価値観に触れられる作品に、これからもたくさん出合いたいですね」

(ライター 中山洋平)

[日経エンタテインメント! 2020年11月号の記事を再構成]

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