エプソンの定番A4複合機 1万~3万円台の3モデル比較
前回、昨今のプリンターの進化と選び方のポイントを解説した。今回はセイコーエプソンのプリンター複合機を見ていこう。家庭向けの「カラリオ」シリーズでは、A4対応モデルでハイエンドの「EP-883A」、スタンダードの「EP-713A」、エントリーの「EW-452A」などを取りそろえる。
ここでは売れ筋である3万円台のハイエンドモデル、性能と価格のバランスに優れた2万円台のスタンダードモデル、とにかく出費を抑えたい人に向く1万円台のエントリーモデルという3種類を買い替え候補として選定していく。
ちなみにカラリオシリーズにはA3用紙対応のプリンター複合機が選べるほか、カラリオとは別の「エコタンク」シリーズとして大容量インク対応も展開。今年は写真品質にこだわった高画質モデルもエコタンク仕様を用意し、ラインアップの幅を広げた(図1)。
大容量インク対応モデルは、本体の実売価格は高めだが、その分、印刷コストは通常のA4対応機の4分の1以下と安い。仕事で印刷枚数が増えるなら、検討の余地ありだ。またスキャンを多用するなら自動原稿送り装置(ADF)搭載で、実売1万円台後半の「EW-M530F」も狙い目だ(図2)。
今回は、最初に紹介したA4対応複合機に絞り、価格帯別の3製品で使い勝手や機能を比較した。まずは本体サイズ。こちらは図3の通り、収納時はハイエンドのEP-883Aが一番小さい。利用時でも、EP-883AとEP-713Aは背面を壁に付けて使えるため、設置スペースを抑えられる。
エントリーのEW-452Aと上位2モデルで差が大きかったのは、印刷速度(図4)。特に写真印刷は大差がついた。オフィス文書の印刷では写真ほどの差はないため、文書しか印刷しないと決めればEW-452Aでもストレスは少ない。インクは上位2モデルが6色で、EW-452Aは4色。印刷コストで比較すると、EP-883Aが若干安くなる(図5)。
続いては給紙方法。こちらもEP-883Aが多機能で、前面に2種類の用紙をセットでき、背面には1枚ずつ印刷するためのトレイもある(図6)。ほかは前面か背面のどちらか一方だ。
本体搭載のモニターもEP-883Aが大きくタッチ操作対応と、小型でボタン操作のほかの2製品よりも使い勝手で上回る(図7)。パソコンを使わずにUSBメモリーから直接印刷できるのもEP-883Aだけだ(図8)。DVDメディアなどへのレーベル印刷は、EP-713Aも対応する。
雑誌や文書をスキャンする機能はどうか。結論からいうと、大きな差はない。補正機能が使える「Epson Scan 2」で取り込むと、文書の文字を見やすくできたり、雑誌の背景などを除去できたりする(図9)。下位機は補正ありだと時間がかかるが、標準設定なら差はない(図10)。
最後のスマホ連携は、使えるアプリや機能に若干の差があった(図11)。
明日はキヤノンの定番機種を比較する。
(ライター 原如宏)
[日経PC21 2021年1月号掲載記事を再構成]
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