
私たちが暮らす銀河系(天の川銀河)には、地球に似た条件の惑星が3億個以上あるかもしれない。新たな研究で、銀河系内にある「太陽に似た恒星」の約半数が、「ハビタブルゾーン」に岩石惑星をもつとする結果が出た。ハビタブルゾーンとは、恒星と惑星からなる惑星系のうち、液体の水が存在しうる領域のことである。
「私たち全員が待ち望んでいた科学的成果です」と、今回の研究を行った米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の天文学者ナタリー・バターリャ氏は言う。研究成果は、天文学の専門誌『Astronomical Journal』への掲載が受理された。
今回の結果は、ドレイク方程式における重要な変数の一つを与えてくれる。1961年に私(筆者のナディア・ドレイク氏)の父である天文学者、フランク・ドレイクが考案したこの方程式は、銀河系内にある文明の数を計算しようというもので、この式を構成する7つの変数のうち、いくつかはすでに明らかになっている。
しかし、「太陽に似た恒星のうち地球に似た惑星をもつものの割合」については、「1000分の1なのか100万分の1なのか、本当のところは誰にもわかりませんでした」と、地球外知的生命探査(SETI)研究所の天文学者セス・ショスタク氏は語る。
天文学者たちは、地球に似た惑星探しに米航空宇宙局(NASA)のケプラー宇宙望遠鏡による観測データを利用してきた。ケプラーは9年にわたって太陽系の外にある惑星探しに活躍。2018年のミッション終了までに約2800個の太陽系外惑星を発見したが、その多くは太陽系の惑星とは似ても似つかないものだった。
研究チームは今回、地球のような惑星がどれだけ一般的であるかを計算するため、欧州宇宙機関(ESA)のガイア宇宙望遠鏡の助けを借りた。ケプラーの観測成果に、銀河系全体の星を監視するガイアの観測データを加えることで、研究チームはついに、銀河系に地球に似た惑星がどれほどあるのかを導き出した。
ドレイクの方程式
ドレイクの方程式では、7つの変数を使って銀河系内の文明の数を推定する。「惑星系をもつ太陽に似た恒星の割合」や「それぞれの惑星系の中で生命が居住できる惑星の数」などの要素を考慮し、そこから、「条件の整った惑星で生命が進化する」確率や「その生命体が地球から探知できるような技術を開発する」確率を考える。この方程式では、技術に精通した地球外生命体は、太陽に似た恒星の周りを回る惑星の上で進化すると仮定している。
「天文学者がこうした惑星を見つけることについて話すときには、実際にはドレイクの方程式のことを話しています」と、米ペンシルべニア州立大学の天文学者で、生命が居住できる惑星の研究をしているジェイソン・ライト氏は語る。なお、彼は今回の研究には参加していない。