募集は年間数チームのみ

就職活動サイトのマイナビによると、掲載される新卒採用で募集があるのはプロ野球で毎年3~4チームで、サッカーJリーグやバスケットボールBリーグは「年間で1チームあるかどうか」(同社)という狭き門だ。

一方で、近年新卒を積極的に採用しようとする動きも活発になっている。新潟アルビレックスBBを運営する新潟プロバスケットボール(新潟県長岡市)は、2021年度は4人の採用を予定する。そのうち3人を専門学校卒や大卒とする計画だ。

例年は専門卒や大卒の採用者は多くても1人だという。しかし新型コロナウイルスの影響により試合会場での感染対策やスポンサー対応、デジタル関連の企画やサービスの立ち上げに人手を必要としている。

地方のチームは資金力が豊富な大都市圏のチームに比べ、中途採用で優秀な人材を確保することが難しい。営業本部の担当者は「給与水準や業務時間などスポーツ業界特有の事情も多く、他の業界から転職してきたときにミスマッチが起こることも多かった」と話す。

同社ではこうしたミスマッチを減らすため、学生向けのインターンシップ(就業体験)を実施する。期間中は営業や試合の進行など、社員とほぼ同じ業務を経験させる。今年は授業をオンラインに切り替えた大学が多いため、関東からも学生が参加しているという。

地方を拠点に活動するスポーツチームにとっては、地元のメディアやファンとのコミュニケーションも重要になる。実際に職員として働いて地域住民らに顔を覚えてもらい、コミュニケーションを円滑にするのもインターンの狙いの一つだ。「選考では人柄や性格、コミュニケーション能力を重視している」(営業本部)

J1クラブが初の新卒採用

サッカーJ1の名古屋グランパスエイト(名古屋市)は21年卒採用でクラブ創設以来初めてとなる新卒採用を実施した。「若手の採用により、スタッフの年齢構成を是正するのが目的」(採用担当者)だという。

営業や広報、ホームタウン活動などに取り組む総合職で人材を募り、2人から内定承諾を受けた。具体的な配属先は検討中。来年以降も新卒採用を続けるかは未定だ。

スポーツチームの新卒採用はいずれも若干名だ。ただ、マイナビの高橋誠人編集長は「人手不足もあり、長期的に社内の年齢構成を考えて新卒を採用する動きが出てくるのでは」と分析する。

スポーツビジネスは、選手や試合を起点とした関連の商品やサービスを生み出して売り上げや利益を上げる。一般の製造業やサービス業と大きな違いはないとも言え、ビジネスの発展に応じてより多くの優れた人材を必要とするのも同じだ。

今年はコロナ禍でスポーツの試合が相次ぎ中止や縮小を余儀なくされた。そのことでかえって、スポーツが人々の心を動かす力や地域経済を活発にする潜在力が改めて認識された。「好き」は仕事になる。スポーツチームは柔軟な発想力を武器に新たな風を吹き込む新卒に大きな期待を寄せている。

(企業報道部 結城立浩、木村祐太)

[日経産業新聞 2020年11月18日付]

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