プロスポーツ職員に新卒就職? 狭き門だが就業体験も就活探偵団

イラスト=強矢さつき
イラスト=強矢さつき

華やかにプレーするプロスポーツ選手たちを陰で支えつつファンやサポーターを盛り上げるのが、チーム運営に携わる職員だ。長らく中途採用が中心だったが、最近新卒を採用する動きが広がってきた。スポーツ好きならたまらない職員として就職するにはどうしたらいいのか。狭き門をくぐり抜けた若手や人事担当者を探偵団が直撃した。

「もともと野球が好きなので、仕事をするうちにチームに愛着が出ています」。都内の私大を今春卒業した吉田茉優さん(23)は念願かなって2020年4月、プロ野球の横浜DeNAベイスターズ(横浜市)に新卒で入社した。現在はイベント企画などを手がける部署に所属している。

小学生の時に父親とプロ野球の観戦に行ったのがきっかけで、野球の面白さに魅了された。大学時代には米国に留学してボールパーク文化に触れ、「将来はスポーツビジネスに携わりたい」と思うようになった。

就職活動ではイベント開催者やスポンサーとしてスポーツに携わることができる企業を中心に受けた。横浜DeNAは就活情報サイトで募集を見て応募した。

主な仕事はインターネットやスマートフォンアプリを活用したファン向けサービスの運営と企画だ。例えば選手を題材にしたカードゲームを楽しめるスマホアプリ「MY BAYSTARS(マイベイスターズ)」では、週3回以上発行するカードの写真を選んだり、デザインを決めたりする権限を持っている。

ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」から解説付きで試合を観戦できる「オンラインハマスタ」も担当する。球団OBへのゲスト出演の依頼やコンテンツ内容の企画などを手がける。「ファンの盛り上がりを直接見ることがうれしい」とやりがいを語る。

横浜DeNAベイスターズの吉田さんは「もともと野球が好きだった」と話す(横浜市の球団事務所)

球団で働く職員はトレーナーや通訳などの業務委託契約を含めて200人程度。半数以上が中途入社で、ほかは親会社ディー・エヌ・エー(DeNA)のグループ会社からの出向組だ。プロ野球球団ではグループ内の人事異動で人材を確保するケースが多いが、横浜DeNAは親会社とは独自に採用活動を実施する。

新卒採用は少なくとも、親会社がTBSホールディングスからDeNAへと代わった2011年以前から実施。新卒の募集は毎年若干名で、採用基準に満たずに採用しない年もあった。現在、球団で新卒で働いているのは数人と狭き門だ。

それでも新卒を採用するのは「幅広い年齢層が楽しめるサービスのために、若い世代の意見がほしい」(人事部の大塚康平氏)からだ。

球団職員の仕事は広報やイベントの企画、自治体や球場と連携した街づくりなど多岐にわたる。「中途採用は20代後半~30代が中心だ。新卒なら若い視点を取り入れて組織を強くできる」(大塚氏)と強調する。

一方で懸念されるのは、ファンであることと球団で働くことの違いへの理解だ。熱心なファンであるからと球団に入社すると、入社自体がゴールになりかねない。大塚氏は「ファンとしての憧れは大切だが、組織に何が足りないのかを考えて実行できる人に来てほしい」と訴える。

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