筑駒の高校の1学年の定員は160人。2020年の東大合格者数は93人、東大合格率では開成高校を上回り、全国トップクラスだ。

「筑駒OBは群がるのは嫌い。それでも好奇心がくすぐられるのか、最先端技術や革新的なビジネス領域には出身者が少なくない」と話す

数学や物理が得意だったので、東大理科1類を志望しました。当時は物理の研究者になろうかなとおぼろげに思っていましたが、将来のキャリアは意識していませんでした。入試対策は東大の2次試験のボーダーラインを想定し、逆算方式で対策を組み立てました。要はすべての科目で満点を取るような勉強ではなく、合格に必要な点数を得意科目中心に積み上げて、1点でもボーダーラインを超えればいいという考え方です。

ただセンター試験ではあと一問間違えれば、二段階選抜に引っかかる危うい目に遭いました。苦手な国語が予想以上に得点できなかったのです。2次試験はなんとか数学と物理で巻き返し、現役合格を果たしました。浪人を含めると、同級生の3人に2人が東大に進学しました。

筑駒の卒業生は研究者や官僚、弁護士や医師になる人が多く、ビジネスマンになるのは少数派でした。同級生にはホストクラブのホストをやって経営側に回ったり、パチプロから経営コンサルタントに転身したり、9浪後に東大理3に合格して医学部に進んだりするなど、個性的なキャリアを歩む人もいます。

大学2年の時、友人からビジネスコンテストに出場しないかと誘われた。

私がビジネスの世界に目覚めたのは、この誘いがきっかけです。ビジコンには大学3~4年生でゴールドマン・サックス証券やマッキンゼー・アンド・カンパニーなどいわゆる外資系の金融機関やコンサルティングファームに内定している50~60人が参加していました。

筑駒とはひと味違う意識高い系の人材の集団に引かれました。それで3年から工学部のシステム創成学科に進学しました。理工学に加え社会科学の知識も加え、社会課題の解決にあたる人材を養成する新しい学科でした。学部卒でドリームインキュベータに入社しました。ただの経営コンサルティングだけでなく、ベンチャー企業を直接支援し、「未来のソニー、ホンダを一緒に創ろう」という考え方に共鳴したからです。

実は創業者の堀紘一さんも筑駒出身。その後、私はボストンコンサルティンググループに移り、アジア最大級の独立系コンサルティングファームのYCPグループ日本法人の代表取締役になりましたが、この世界には筑駒OBは少なくありませんでした。YCPの同僚だった鈴木勇次さんは1つ先輩で長尾至さんは1つ後輩。筑駒OBは群がるのは嫌いなので、誘い合わせて集まっているわけではありません。ただ、最先端技術や革新的なビジネス領域には好奇心がくすぐられる人間が多いからだと思います。

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