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進化する「ライフスタイルホテル」 極上ステイ楽しむ

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NIKKEI STYLE

ホテルの楽しみとして、いつもとは違う雰囲気で過ごす非日常感があるかと思う。昨今は、デザイン性の高さや個性のあるサービスなど「泊まること」だけでなく、「過ごす時間」や「過ごし方」に魅力を発揮するライフスタイルホテルがトレンドだ。もともとはパーソナルなサービスを提供し、滞在を自分らしく楽しんでもらう意味合いだったライフスタイルホテルだが、近年はさらに一段進化し、ライフスタイルをインスパイア(啓発)するホテルを意味するようになっている。東京都内に誕生が相次ぐ中、今年オープンした3つをご紹介しよう。

トップバッターは東京・銀座6丁目に2020年10月開業の「アロフト東京銀座」。マリオットホテルグループで音楽×アート×テクノロジーをコンセプトに、スタイリッシュなデザインで知られる"アロフト"の日本上陸1号店だ。独特なストライプ模様に導かれてロビーに入ると、天井には銀座の様々な風景が映し出されている。地域に根ざしつつ、海外のデザイナーズホテルにいるような気分にもなってくる。

プロジェクションマッピングで刻々と姿を変えるエレベーターホールの壁が、非日常への入り口を思わせる。ポップな家具が置かれた客室の中でも「アロフトスイート」(4室)は、遊び心があふれる空間になっている。ベッドルームとリビングとに分かれ、両方をつなぐ窓側のスペースには通に評価の高いマーシャルのLPプレーヤーのスピーカーも。60年代に最先端のおしゃれで銀座を席巻した「みゆき族」をイメージした壁紙が部屋を飾る。

1階のバーや2階のオールデイダイニングも絵になるスタイリッシュさだが、おすすめは16階建てのホテルの屋上から眼下に銀座を一望できるルーフトップバー「ROOF DOGS」。店名は、メインメニューのいろんな国のスタイルのホットドッグから。シルバーのフォルクスワーゲンがドリンクのオーダースタンド。キュートなデザインと絶景は、日本にいることを忘れてしまいそう。

お次は東京・青山の青山ベルコモンズの跡地に2020年8月5日に開業した「青山グランドホテル」。周辺には1970年~80年後半にかけて、外国人が住むヴィンテージマンションが数多く建ち並び、時代の最先端を行く街として知られてきた。そんな時代感が今どきの世代の目にはおしゃれで粋に映り、また当時を知る世代にとっては懐かしさを覚える。「時代に寄り添う」ホテルとして、館内に飾られたアート、写真集、ファッションモチーフなどが、そんな時代をしっかりと演出する。

青山にショールームのあるイタリアのモダンファニチャーブランド、アルフレックスのオリジナル家具が室内に置かれており、ヴィンテージな雰囲気が漂う。すべての客室にリビングのスペースが設けられ、生の緑の鉢植えや無料で飲めるアルコール類もセットされたサイドボードなどワンランク上のライフスタイルで滞在が楽しめるよう工夫されている。

スティーブ・ジョブスと一緒に仕事をした数少ない日本人デザイナー八木保氏が手掛けたベッドフレームや老舗寝具メーカー、イワタのマットレスなど、こだわりのある家具も。ガラス張りの明るいバスルームは、ブルーのタイルのデザインや丸形のウォールミラーがしゃれている。バスアメニティは、日本のホテルでは初採用というジェンダーレス、エイジレス、オールスキンタイプのオルタナ。細部に行き渡るこだわりが、居心地のよさの演出に成功している。

宿泊者以外でも利用可能なレストランやバーは、ベルコモンズの名前を一部に冠したカジュアルダイニング「THE BELCOMO」はじめ、メインダイニングのイタリアンや和食、スシ店も。ルーフトップバーもあり、どの店も個性的なインテリアが印象的だ。

3つ目は2020年10月、新宿に開業した「キンプトン新宿東京」。インターコンチネンタルホテルズグループのラグジュアリーライフスタイルホテルでサンフランシスコ発のブランド"キンプトンホテルズ&レストランツ"の日本上陸1号店だ。新宿駅から徒歩10分の距離でアクセスも良好。上品でスタイリッシュなインテリアに満ちた空間は、ニューヨーク(NY)のアッパータウンを旅する気分になってくる。

上質でリラックスできる雰囲気の中に、NYのアートシーンからインスピレーションを受けたインスタレーションや、おしゃれなコンセプトストアが、ヒップで"今"なセンスを発揮している。スタッフが履く白のスニーカーにも、館内を飾るアーティストの手描き文字をあしらうなど、どこまでもおしゃれ。

1階の「ザ・ジョーンズ カフェ&バー」はNY発、日本初上陸の「Birch Coffee(バーチコーヒー)」を朝から味わえ、夕方からはクラフトビールやオーガニックワインも楽しめる。ネオンサインとアンティークアイテムのアートなどがNYの人気カフェらしい。また、テラス席も備え粋なデザインの「ディストリクト ブラッスリー・バー・ラウンジ」は、NYの折衷的な文化や多様性に基づいたメニューが楽しめる。

客室もモダンなインテリアの中に、かんざしをイメージした照明がベッドサイドに配置されるなど、日本を意識した要素も忘れない。「とんでもなくパーソナルで記憶に残るステイを」というホスピタリーも特徴といい、一部の客室やダイニングのラウンジ、テラスエリアがドッグフレンドリーなのもユニーク。

都心にオープンした真新しいライフスタイルホテルで、自分なりのスタイルで非日常のひとときを楽しんでみてはどうだろう。

小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。

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