2020/11/30

――就職先が「ブラック企業」かどうかを気にする学生も多いですが、見分け方はありますか。

ブラック企業とは何か? その言葉が意味することを自分なりに考えてみてください。そもそもA社はブラック企業、B社はホワイト企業だと、一枚岩的に捉えることは間違っています。また、誰かが言っていることをうのみするのも間違いです。同じ事実でも、それに対する評価は、人によって違うからです。オンラインでも対面でも構いませんが、OB・OG訪問をしましょう。自分の目で企業を見分けることが大切です。ネットでの情報をうのみにして、入社して、その後、思い描いていた働き方と違ったとしても、誰かのせいにはできません。

30以上のアルバイトで多様な世界知る

「何を信用するか、自分なりに考えることが大事」と語る菊間さん

――弁護士として様々な相談を受けるなかで、改めて仕事や働き方について感じたことは何ですか。

人は誰しもスマートに生きられないということです。信じた人に裏切られたり、人間関係がこじれたり、トラブルに発展してしまうこともある。日々の法律相談や裁判を通して、「自分の目で物を見る」ことの大切さを改めて感じています。弁護士はいろいろな方にお会いしますが、外から入ってくる情報は参考程度。自分がその人と会って感じた気持ちのほうが圧倒的に大切だと思っています。

基準をネットの情報や世間の評判にすることは、とても楽ですけど、それって自分で考えることを放棄しているのではないかなと思います。法律違反はもちろんアウトですが、では法律で規定されていなければなんでもセーフかというと、そんなことでもないと思うんですよね。専門家じゃないからわからないということでもない。ルールがあったとしてもその背景には何があり、何を信用するのか、それぞれが考え、自律的な共存関係を創っていくのが大事だと思います。

――「自分の目で見る」ということは学生時代から意識していたのでしょうか。

私は大学時代に工事現場、イベントコンパニオン、警備員など30を超えるアルバイトを経験しました。私は自分の知らない社会を経験するという目的でアルバイトをしていたので、大学生が多く集まるようなアルバイトは、あえて選択しませんでした。工事現場で「早稲田大学の菊間です」と言っても通用しないわけです。日ごろ出会ったことのない人たちと、見たことのない世界で働くことを重視しましたね。

――アナウンサー新人時代に学び、今の仕事に生かされていると感じることは何ですか?

印象深いのは、沖縄での基地問題の取材です。東京で新聞や書籍で事前の下調べをして、自分の中でこんなインタビューが取れれば、とイメージしながら、いざ現地に赴くと、どうも違う。カメラを回さないという条件でお話しをしてくださる方もいました。何かを思っていても、人前で言わない人もいる。基地がないと生きていけない立場の人もいる。

基地問題は立場によって様々な意見がありますから、聞けば聞くほど、何をリポートしていいかわからなくなって、ディレクターと1時間くらい議論しましたかね。間接的な情報をたくさん仕入れて、知ったかぶりをしてはいけない、答えは現場にしかない。自分で見て聞いたことをリポートする、そんな基本的なことを沖縄取材を通して学びました。

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「ネタ帳」持ち歩いた就活時代