就活も仕事も「答えは現場に」 弁護士・菊間千乃さん通年採用時代の就活のトリセツ(10)

2020/11/30
元アナウンサーで弁護士の菊間千乃さん(写真右)と法政大の田中教授(同左)
元アナウンサーで弁護士の菊間千乃さん(写真右)と法政大の田中教授(同左)

こんにちは、法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔です。ニューノーマルな大学生活、いかがお過ごしですか? オンラインで実施される講義と対面で実施されるゼミ、ハイブリッドな形で展開される大学生活に戸惑いを抱えている方も少なくないようです。2年生や3年生は、オフィスでのインターンを経験できなくなり、これから迎える就活に不安を抱いていると耳にします。

コロナ禍では、企業もオンラインで説明会や選考を実施したり、学生もツイッターなどで情報収集したりと、どんどんオンライン化が進んでいます。私が一つ危惧しているのは、オンラインでの就活が常態化することで、企業に訪問したり、社会人から直接アドバイスを聞いたりというリアルな機会を通じて得られる、「プレ社会人」化への変容機会が絶対的に不足していくことです。

就活は「点」ではなく、「線」です。就活をはじめた翌日から激変する、能力が急に向上するスーパーマンは、この世に存在しません。就活の一つ一つの経験を通じて、社会人としての必要なコミュニケーションを身体化していくのです。

今回、皆さんと共有しておきたいのは、これまでの日常が継続できなくなった時にこそ、ビジネスシーンで求められる心構えが露呈するということなのです。

これまでの当たり前が通用しなくなった時に、何を考え、どう行動するのか? 人は二つのタイプにわかれます。一つは、目の前の変化に翻弄され、不満や文句ばかりを述べ続ける現状不満型タイプ。もう一つは、目の前の変化に適合し、問題の解決策を導き出す未来創出型タイプ。もし前者だと感じるなら、大学生活の間に後者になれるように日々を過ごすようにしてください。基礎的な知識を覚え、単位を習得するだけが大学の学びではありません。大学生活を通じて、社会を生き抜いていくのに必要な心構えを「身体化」させることが大切なのです。未来創出型タイプの人は変化の中でどうすべきかを考え、自ら主体的にキャリア形成を続けていきます。

今回は弁護士の菊間千乃さんにインタビューを実施しました。菊間さんは早稲田大学を卒業後、フジテレビのアナウンサーとして長年活躍。その後、弁護士へと転身し、今も数多くのテレビ番組でコメンテーターをされています。弁護士として、それから主体的にキャリアを築いてきた先輩として、菊間さんに社会人になっていく上での心構えを聞きました。

同じ事実でも、評価は人によって異なる

――SNS(交流サイト)で就活の情報収集をする学生が増えていますが、その延長で、内定者や新入社員が会社のことについて投稿し、トラブルになるケースもあるようです。法律の専門家としてどう見ていますか。

SNSに投稿した内容は、一瞬にして世界に拡散されることがあるというリスクをあらためて理解しておいてください。何のために書くのか? 誰に向けて書くのか? しっかり考えて投稿するようにしてください。内定先の企業のことだって、書いてはいけないということではなく、これを内定先の会社の人が見るかもしれないという意識を持つことが大事だと思います。対面でのコミュニケーションで言えないこと、言わないことをSNSだから書けるというのは、危険な使い方。SNSは、パブリック(公)の場なんですから。

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