会議では常に手を挙げ意見、今も起業家精神 モス社長モスフードサービス 中村栄輔社長(下)

モスフードサービス社長 中村栄輔氏
モスフードサービス社長 中村栄輔氏

モスフードサービスの中村栄輔社長は社長を託された2016年、「50年先も存続できる組織づくりを任された」と感じた。モスバーガーは1972年に東京・板橋に1号店を開き、今では国内外で約1700店舗を超えるチェーンに成長した。新型コロナウイルス下でも、既存店売上高は前年を上回っている。大きくなった組織のかじ取り役として、中村社長は「起業家精神と行動」が大切だと語る。「今日より明日の成長を目指し、みんなで目標達成を喜び合える会社にしたい」との夢があるからだ。

<<(上)ゴールは客の「また来るね」 サッカーに学ぶモス社長

――リーダーとして何を大切にしていますか。

「アントレプレナーシップ(起業家精神)です。月1回、管理職以上を対象にした会議を開いていて、そこでは『アントレプレナーシップをもって仕事をしよう』と伝えています。この言葉と出合ったのは、入社して数年、法務課長になった当時の研修です。意味が分からなくて、英語に詳しい同僚に尋ねると『リスクを負って物事を始めることね』と教えてくれました。これは創業者である桜田慧氏の思いや経営理念に通じる発想だ、と感じるところがあって、法政大学の夜間大学院に通うようになりました。修士論文のテーマは『フランチャイズシステムはアントレプレナーを育てるか』です。私が考えるアントレプレナーシップとは、自分自身で一生懸命考え、意思を決定し、リスクを負って行動すること。起業家精神というより起業家活動と訳すのが正しいと思っています。結局、行動に結びつかないと意味はないのです」

「私は取締役会などの会議で、必ず手を挙げて発言するようにしていました。小さいことのようですが、この行動がアントレプレナーシップそのものだからです。積極的に発言して、間違ったことを言ったら恥ずかしいし、リスクを負うことになる。でも、考えを伝えるためには自分で行動しなければ始まりません。社長に就いた後も、会議の参加者には右手をあげて堂々と発言するよう徹底しています。会議への参加意識も高まる効果があると思います」

――社員を育てるうえで大切にしていることはありますか。

「自分でできないと思ったことはやらせません。ただ、チャレンジは止めません。失敗してもそこから学べばいいと思うからです。それと、社員の出す提案には必ず、『なぜやりたいの』と理由を聞きます。これは『心プラス科学』の科学ですね。科学と表現すると少し難しいですけど、シンプルに『どうして』とか『なぜ』と思うことです。とにかく、提案を自分で考える機会にしてほしくて聞いています。あとは否定しないことですね。気になる部分があれば、まずはいったん受け止めたうえで、『でも』と付け加えるようにしています」

次のページ
一緒に働く仲間こそ、やりがいのもと