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newme(NIKKEI x C Channel)

日本企業や組織のあるべき姿とは?ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン・小林りん代表理事

2020/11/17

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学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事。都内の高校からカナダのUWCに編入。1998年に東京大学経済学部を卒業後、国際協力銀行などを経て2005年にスタンフォード大学大学院で国際教育政策学の修士課程を修了。国連児童基金(ユニセフ)のプログラムオフィサーとしてフィリピンでストリートチルドレンの教育問題にかかわり、14年に現在の学校の前身であるインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)を設立した。
学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事。都内の高校からカナダのUWCに編入。1998年に東京大学経済学部を卒業後、国際協力銀行などを経て2005年にスタンフォード大学大学院で国際教育政策学の修士課程を修了。国連児童基金(ユニセフ)のプログラムオフィサーとしてフィリピンでストリートチルドレンの教育問題にかかわり、14年に現在の学校の前身であるインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)を設立した。

日本経済新聞社(東京・千代田)と女性向け動画配信のC Channel(Cチャンネル、東京・港)が立ち上げた働く女性を応援するメディア「newme」。金融や政治、教育など各分野のプロフェッショナルをゲストに招き、従来の概念にとらわれない生き方を選ぶために必要な情報を提供していきます。今回のテーマは「教育」。世界から生徒が集まる全寮制の国際高校「ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)ISAKジャパン」を運営する小林りん代表理事に同校のビジョンやアイデンティティーとの向き合い方、そして日本企業や組織のあるべき姿について聞きました。

「あれ?」から生まれるチェンジメーカー

――ISAKジャパンはどんなビジョンを持っていますか。

「私たちの学校は、建学の精神に『チェンジメーカーを作る』を掲げています。一人ひとりがどんな立場でもいいので『あれ?』と思ったらアクションを起こし、『こんな世の中になったらいいな』と思うものに対して一歩でも近づけるような、小さくてもいいから変化を生み出せる人を育成したいと学校を作っています」

「今は軽井沢に全寮制の学校があり、そこには84の国々から200人の高校生が集まっています。(日本にある)インターナショナルスクールというと、日本にいる駐在員のお子さんが多いと思いますが、日本を除く83の国々で育った子どもたちが、この学校のためだけに留学しているかなり珍しい学校です」

「インターナショナルスクールは(学費が)高いというイメージがありますが、私たちは70%の生徒に対して奨学金を給付しています。国籍が多いだけじゃなく、社会階層とか宗教観とか歴史観とか、本当の意味でのダイバーシティーが渦巻く学校にしたいと思っています」

チェンジメーカーを育てる2つの要素

――チェンジメーカーを生むために実際には何をしていますか。

「要素としてひとつは問いを立てる力、もうひとつは多様性を生かす力があります。教育の現場では問題解決能力が1つのワードとして注目されていますが、それは降ってきた問題をいかにうまく早く解くかじゃないですか。でも、そもそも解くべき問題は何なのかがすごく変わってきています。人から与えられた問題を早く解くのではなく、自分で解くべき問題を見極める力を身に付けることをすごく重視します。授業の形態や寮の運営方法、生徒たちのクラブ活動まで全てその考えが根底にはあります」

――生徒たちは学校でどんな問題を見つけるのですか。

「いきなり社会問題に行くのではなく、まずは小さなところから始めるのが本当に大事です。高校1年生のときには学校の中で『あれ?』と思ったことを見つけ、それを変えるプロジェクトを全員でやっています」

「例えば開校時には50人でしたが、徐々に増えて200人の定員まで増えました。そのなかでカフェテリアの列が長くなり、ランチタイムで食べ終わらないことが問題になりました。そうなると自分たちでカフェテリアの運営方法を変えようとします。定点カメラを使って1時間にわたり生徒の動きを観察して、そこからいろいろなボトルネックを探し出して解決しました。生徒たちがみんなで考えて、自分たちで解決策を生み出そうとしています」

「私たちができるのは多様な環境を準備することや、奨学金を出して世界中の子どもたちに来てもらうことですが、クラブ活動やプロジェクト、あるいは寮の運営などは全て生徒が自主的にやっています。全然価値観の違う子がいることからの学びを生かしながら仕組みを作っていくことが、学校の至る所で起きています」

「日本企業や組織は完璧ではない」を自覚する

――日本企業や組織のあるべき姿とは何ですか。

「日本のなかにも多様な価値観が存在しています。『言ったらまずい』という雰囲気もありますが、これからの時代は組織は完璧ではないことをトップも首脳陣も痛烈に自覚する必要があると思っています。『組織は完璧ではない』という前提で、直していくことや改善していくことがたくさんあるわけで、それらはいいことのはず。何か声が上がってきたときに、『言ってくれてありがとう』と喜べることがすごく大切です」

――多様なバックグラウンドの人が集まると、アイデンティティークライシスになるのではないでしょうか。

「むしろ逆で、あまりにも多様なので自分は何者なんだろうと考えることが多いため、自分のアイデンティティーが強く立っている子が多いです。例えば日本人の子でも海外の子と一緒になって、初めて自分のことを日本人っぽいと思うことや、ラテンの子にしても私はラテンだったと思うことがあります。ダイバーシティーの中で見えてくるアイデンティティーがあり、自分のアイデンティティーと再会しているというのはあると思います」

(この企画は日経とC Channelが共同で展開しています)