綾瀬はるかが軽快なステップ 新コカ・コーラ ゼロCM売れるCMキャラクター探偵団

日経クロストレンド

コカ・コーラ ゼロのリニューアルCMに出演する綾瀬はるか
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綾瀬はるかが軽快に踊る2020年8月にリニューアルしたコカ・コーラ ゼロの新CM。前向きなメッセージと音楽の爽やかさも話題になった。19年に3年ぶりに菅田将暉を起用したCMの反響の大きさが、今回の大々的なリニューアルを後押しした。歴代のブランドキャラクターがつないだバトンとは。

今回のキャラクター:綾瀬はるか
■製品:コカ・コーラ ゼロ
■企業:日本コカ・コーラ

<クリエイターズファイル>
■クリエイティブ・ディレクター:北田有一
■企画:木下舞耶、小西慶、櫻井瞭
■アートディレクター:唯井達朗、西山恭
■ストラテジックプランナー:佐藤尚史、前田星平
■プロデューサー:石川竜大
■演出:丸山健志
■撮影:神戸千木
■音楽:Novelbright
■広告代理店:電通

歴代キャラクターがつないだバトン

「どんなときでも前を向こう」とベランダへ飛び出し、ヘッドホン越しに聴こえる音楽に合わせて軽快なステップを踏む綾瀬はるか。手には新しくなったコカ・コーラ ゼロ。シズルカットの後に「この新しい刺激がきっと力になる」のナレーションが流れる。

再び踊る綾瀬の前には同じく近隣のベランダでコカ・コーラ ゼロを飲む男性。離れたままでボトルを持ち上げ、乾杯をする2人。シュワッとはじけるシズルカットとともに「新しい時代、新しい後味。」のテロップとナレーション。CM放送直前にメジャーデビューしたばかりのロックバンドNovelbright(ノーベルブライト)のハイトーンボイスが印象的な楽曲「Sunny drop」がCM全体を盛り上げる。

コカ・コーラ ゼロは20年8月に5年ぶりのフルリニューアルを実施。久々のリニューアルとあって、オンラインで購入すると10%オフになる他、公式アプリ「Coke ON」と連動するなど大々的なキャンペーンを展開した。

07年6月に発売されたコカ・コーラ ゼロは、「コカ・コーラ」ならではの爽快な飲み味を糖分・カロリー・保存料・合成香料ゼロで作り上げ、これまで成長を遂げてきた。競争が激しい国内の炭酸飲料市場でも、健康志向のある幅広い層に支持され、発売から5年後の12年には、累計販売本数が50億本を突破(日本コカ・コーラ調べ。1本8オンス=約237ミリリットル換算)。これは1秒間に31本という驚異的なペースで売れたことになる。

歴代のCMキャラクターもそうそうたるメンバーだ。発売直後はちょんまげ侍姿の男性が、炭酸飲料のメインターゲットである男性に向けて「日本の男よ、ためらうな」のキャッチフレーズで認知を広めた。その後、09年の初リニューアルでは、安室奈美恵と中田英寿がコカ・コーラのワイルドさとゼロ系のヘルシーさという相反する価値観を「WILD HEALTH」でアピールし、ファン層を拡大した。

12年に滝川クリステルと伊藤英明が同じ路線を引き継いだ後、13年には当時のEXILEのメンバー14人全員で「Zero Limit」キャンペーンを展開した。ゼロ系炭酸飲料市場で「売り上げNo.1ブランド」(インテージMBI 11年9月~12年8月 全国・手売りチャネル計)から、さらに高みを目指すと宣言した。

そして15年のリニューアル時には、「芸能界屈指のコカ・コーラ好き」を自称する中居正広を起用し、コカ・コーラ ゼロとオリジナルのコカ・コーラを飲み比べてどちらかを当てる「#利きコーク」キャンペーンをスタート。見分けがつかないほどおいしくなったことをアピールした。

3年ぶりのCMで勝算を確信

その後、19年にキャラクターに就任したのが菅田将暉だった。綾瀬や池田エライザとともにコカ・コーラのブランドアンバサダーを務める菅田で挑んだのが、飲む場面を視聴者に印象づけるCMだった。この「オケージョン訴求」はコカ・コーラ ゼロとしては初。これまでは製品コンセプトをアピールしてきたが、この時は飲むことによってオフィスでの気分転換につながることを押し出した。「フローズンタイム」という時間を止める撮影手法で、背景の時間が止まったり動いたりする中、菅田がコカ・コーラ ゼロによって「爽快ブレイク」を引き起こすというCMは反響を呼んだ。

菅田将暉を起用した3年ぶりのCM「Zero Break」編
オフィスのリフレッシュメントとしてコカ・コーラ ゼロ初のオケージョン訴求をした

実はこのCMには観測気球としての役割もあった。日本コカ・コーラ広報部 PRマネジャーの戸塚令子氏は、「消費者のコカ・コーラ ゼロへの記憶を呼び起こすため3年ぶりにCMを放映した。このCMの反響が、今後の製品展開の布石となった」と明かす。

CMを開始すると反応は上々、2カ月の放送期間だったにもかかわらず、CM放送中の5月は前年比で3.3%伸びた(出荷金額)。「これで味の改良に勝算があることを確信した」と戸塚氏。このCMの結果を受け、フルリニューアルに着手することにした。

1年の開発期間をかけて味を改良し、「新しい時代、新しい後味」というキャッチフレーズで、日常を前向きにしてくれる新コカ・コーラ ゼロの誕生を印象付けた。

アドリブで踊る綾瀬の軽快なステップも印象的
コカ・コーラならではのおいしさを伝える重要なシズルカット

綾瀬は11年に同社の「アクエリアス ビタミンガード」のキャラクターとして登場し、17年にコカ・コーラのブランドアンバサダーに就任した。今回、フルリニューアルキャンペーンという重要なタイミングで起用したのは、老若男女に愛される強みを持つ綾瀬の爽やかさで、製品の進化や前向きさを伝えるのが狙いだ。そして爽やかさを加速させるのが、先述のNovelbrightが歌う「Sunny drop」だ。外出自粛期間中に制作したというこの曲には、雨が上がってやがて晴れ間が訪れるという希望が込められている。

歴代のキャラクターがバトンをつなぎながら製品の魅力を伝え、無糖炭酸飲料で強固な地位を築いたコカ・コーラ ゼロ。だが、賛否両論が分かれる「無糖ならではの後味」が弁慶の泣き所だった。今回、「すっきりした後味で飲みやすくなった」と戸塚氏も太鼓判を押す。綾瀬が醸し出すはじけるような爽やかさは、新しいコカ・コーラ ゼロにとって何よりの援軍だろう。

「新しい時代、新しい後味」のキャッチフレーズで新しいコカ・コーラゼロを印象付ける

(ライター 北川聖恵)

[日経クロストレンド 2020年10月30日の記事を再構成]

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