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新商品も生まれた カルビーが目指す新しい働き方

武田雅子カルビー常務執行役員(下)

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NIKKEI STYLE

カルビーは7月から新しい働き方「Calbee New Workstyle」を始めた。「モバイルワーク」無期限延長・単身赴任の解除・通勤定期券代の支給停止が柱だ。前回、新型コロナウイルス禍の環境下で働き方の改革をどのように進めているか、社員の悩みにどう対処しているかを聞いた。引き続き、工場などの現場社員への対応、社内コミュニケーションのあり方、在宅勤務の経験から生まれた新商品など、武田雅子常務執行役員CHRO(最高人事責任者)人事総務本部長に聞いた。

工場の社員にもスマホを支給

白河 前回、工場の話が少し出ましたが、テレワークに関して多くの企業の悩みどころは「とはいえ現場のある仕事はテレワークできないよね」という点です。御社はどう対応しているのでしょう。

武田 やはり工場は場所と時間の制約をフリーにすることは難しいと思います。ですから、マスク・消毒液の支給、食堂の無料化、計画的に休みが取れる仕組みづくり、処遇の改善など、生産現場の環境改善に重点を置いています。

白河 コミュニケーションの面はいかがでしょうか。社員の8割近くが在宅勤務をなさっているとすれば、在宅勤務中の社員と工場勤務中の社員はどのようにコミュニケーションしているのでしょうか。

武田 工場勤務の方も、工場の事務所からオンラインミーティングに参加しています。また、一つの導入例としては、これまで工場勤務の方々には支給されていなかったスマートフォンを、正社員には一律支給する制度に変更しました。これまで支給しなかったのは「仕事で使わないので不要」という理由だったそうです。他業種から来た私は「正社員間で情報格差が生まれるのは不公平ではないか」と驚き、(編集部注:武田さんは、クレディセゾンに1989年に入社。2018年にカルビーへ転職)人事から提案する形で、新たに約1000人の工場勤務の正社員に支給を決定してもらいました。製造業では珍しいようです。

白河 「だって工場の仕事では使わないでしょう?」と思われがちですよね。

武田 たしかに業務には直接関わらないかもしれませんが、最新の情報に触れやすくなることで、さまざまな行動に関わる発想ができたり、一歩を踏み出す勇気が持てたりという効果があるはずです。社内の情報を取りに行く方法も、これまでは食堂や休憩所の壁にある掲示板を見たり、事務所に数台あるパソコンからイントラネットに入って確認したりするくらいしかなかったのですが、スマートフォンが1人1台あれば、情報を取る頻度は格段に上がるはずです。

オンラインで深まるコミュニケーション

白河 いい取り組みですね。企業内の格差是正が社会課題として注目される今、時間と場所の制約がある方々の働き方を改善していく配慮が重要なのですね。単身赴任や転勤をなくす動きもありますか。

武田 当社はもともと、社員の方それぞれの家庭の事情に応じて、転居を伴わない異動を促進したり、新幹線通勤をサポートしたりしてきたので、「勤務地を戻したい」といった要望は実はそれほど出ないんです。営業部門では、お客様のもとに直接出向くことが必要な仕事はもちろんありますが、今後リモート商談が浸透してくると「敏腕オンライン営業マン」も続々誕生するかもしれませんね。

白河 誕生しそうですね。出張もかなり減っていると伺いましたが、移動費が浮いた分の原資の使い道は決まっているのですか?

武田 それはこれから考えていこうと思っています。

白河 オンラインでのコミュニケーションが社内で促進されたことの価値として、どんな変化が生まれていますか。

武田 やはりこれまではオンラインでは共有しづらかったことまで情報共有しやすくなったメリットは大きいと思います。当社は主要な工場や労務・経理系の拠点が宇都宮に集中しているのですが、「宇都宮まで行かなければ話せない」と思い込んでいた込み入った話でも、オンラインで十分にできることが分かった。コミュニケーション量は確実に増えていると思います。

白河 「メールよりもチャットのほうが気軽に相談しやすい」という意見はよく聞きますし、新しいツールを使いこなす機会が増えたことも寄与しているのかもしれないですね。

武田 そうですね。また、在宅勤務が進んだメリットとしてマネジャークラスからよく聞かれるのは、一人ひとりのメンバーのバックグラウンドへの理解が深まったという点です。どういう環境で、どういう家族構成がベースとなって働いているのか、自然と理解できるようになった、と。トップの伊藤(秀二社長)もよく言うのですが、当社は日常に身近な商品を扱っていますので、いい意味での公私混同が仕事上の成果にもシナジーを生むものと期待しています。

白河 逆に、ここまでは行き届いていなかったという気づきもありましたか。

武田 やはりほぼ全員が在宅勤務になるという変化は初めてのことでしたので、気づきはありました。毎日長時間、家の中で集中しようとすると思った以上に疲れるという点や、自宅をワークスペースとして使うための環境整備も必要であるという点です。この気づきを受けて、「休憩を適宜とりましょう」「長時間労働を避けましょう」「机や椅子の整備にはこのような注意をしてください」といったガイドラインを規定に加えました。

在宅勤務の気づきが新製品に

白河 在宅前提になって初めて生まれた問題点に対処しているということですね。

武田 はい。また、この「在宅勤務には休憩が必要だね」という気づきの共有は、さっそく新商品の開発にも生かされました。休憩時間をサポートする商品として人気のスナックを少量ずつ詰めた「otomo pack(オトモパック)」を、新たにリリースしたのです。幸福学が専門の慶応大学大学院の前野隆司教授に調査協力いただき、記者会見も開きました。

白河 在宅勤務のお供として提案する新商品とは、まさに新型コロナウイルス下で誕生した成果ですね。

武田 商品パッケージにもデザインされた「Calbee New Workstyle」のロゴも、社内のデザイナーが自発的につくってくれて。この環境変化を乗り越えることを、誰もが自分のこととして考えられる組織であることは大きな強みだと実感しました。

白河 働き方を柔軟にする最終ゴールは、まさにそこなのでしょうね。

武田 働き方改革って「生産性」とセットで語られることが多いのですが、あまり数値化した目標にとらわれ過ぎると、かえって自律性を失って、本質を見誤ってしまうように思います。人事として残業時間を見るような労務管理は必要ですが、生産性が上がっているかどうかは、そのチームのマネジャーあるいはメンバーである当事者の方々が一番わかっているはずなんですよね。だから、「時間当たり○○」といった一律の物差しで生産性を測ることは、あまりしたくありません。それよりも、もともと当社が持っている明るいチャレンジ精神を促進する方向へと注力していきたいと強く思っています。

白河 まず、社員の方一人ひとりが自律的に、心身ともに健やかな状態で働ける環境をつくれば、新しい発想が生まれて、イノベーションにもつながる。先日、グーグル本社に勤める方のお話でも「生産性よりもまずメンタルケアを優先する」とおっしゃっていました。

武田 納得です。一足飛びに生産性の数字だけにこだわらないようにしたいと思います。遊び心あってこそのカルビーだと思いますし、その「らしさ」を守ることが、働く皆さんの会社に対する愛着も生むはずですので。

白河 コロナのような危機に対応を誤ると、愛社精神が下がることになりかねません。その点、「この会社で働いていてよかった」という反応が多く集まっているというのは、素晴らしいですね。

武田 人事としても大きなチャレンジをさせていただいたと思いましたので、社長と副社長には御礼のメールを送ったんです。すると、社長の伊藤から返ってきたメッセージに胸を打たれまして。「武田さん、すべて環境が整ってからって考えたら、何もできません。つまずきながら進んでいきましょう。最大のつまずきは、業績の低迷ですね。ここに言い訳はできません。全員活躍が進まないといけませんね」と。「つまずきながらでいい」という言葉に、とても勇気をもらえました。

白河 以前、このコーナーにご登場いただいた河野太郎規制改革相も「改革を進めるメンバーには『最初はボールを落としていい、自分が責任を取るから』と言っている」とおっしゃっていました。やはり変革にはリーダーシップが重要ですね。そして、「全員活躍」とはまさにダイバーシティー推進のこと。コロナは不幸も生んでいますが、コロナによってダイバーシティーがよりスピーディーに推し進められている面はありますよね。

武田 すごくあると思います。大変なことももちろんありますが、「コロナのおかげと思えるように、頑張りましょう!」とメッセージをくれた社員もいて、エネルギーをもらいました。

白河 御社ならではの進化の最新形を教えていただけました。これからも一層、期待の目で注目していきます。ありがとうございました。

あとがき:コロナで働き方が変わり、今どう対処するかを悩んでいる企業が多いと思います。今回は「すでに働き方を変えた企業がその後に得た価値、見た光景」を知りたいと思い、働き方の先進企業であるカルビーにお話を聞きました。そんな同社にとっても、やはりコロナは特別な状況で、新たに出てきた課題もある。しかし、働き方の先にあるものにブレない目標を置くことで、コロナというピンチに生まれた商品もあれば、新たな企業価値を創出できたという側面もある。そろそろ「生産性が短期で下がったか上がったか」の議論ではなく、その先に何を目的とするのかを見据えて働き方を論じる時期ではないかと思います。コロナはまだ終わっていませんが、もし収束したとしても「壮大な働き方の実証実験」を体験したことで人の意識は変わり、元に戻ることはないでしょう。

(文:宮本恵理子)

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