グーグル「ネストオーディオ」 音の奥行き感じられず
今回の目利き 森谷健一氏
グーグルは、世界のスマートスピーカー市場ではアマゾンに続き、第2位のシェアを占める。「ネストオーディオ」は、グーグルが最初に発売した「グーグルホーム」の後継機にあたる音質を強化したモデルだ。
他のスマートスピーカーと比べるとコンパクト。タッチセンサーが上部3カ所に配置されており、軽く触れることで音量の上下と音楽再生の一時停止・再開ができる。3つの高感度マイクを内蔵し、隣の部屋から呼びかけても反応する。
通話アプリ「グーグルデュオ」での音声通話に対応しており、同じアプリを導入している相手とネット経由で通話できる。ネット映像再生機器の「クロームキャスト」をテレビに接続しておけば、本製品に話しかけるだけで、ネットフリックスなど動画配信サービスをテレビで視聴できる。
音楽再生の性能評価は分かれそうだ。75ミリのウーファーと19ミリのツイーターを内蔵し、音の作りは中低音重視だ。2台の本製品をペア設定すれば、ステレオ再生が可能。音楽を聞きたいとき、話しかける以外にスマホの「ユーチューブ・ミュージック」アプリなどを使える。
実際にいろいろなジャンルの曲を再生してみたところ、平たんな音で奥行きが感じられなかった。ボーカル曲なら大きな問題はないが、クラシックやジャズを聞きたい人は物足らないだろう。内蔵スピーカーの向きが問題なのか、音の抜けが悪く、ややこもっている。他のスマートスピーカーと同じ録音を聴き比べてみたところ、アマゾン「エコースタジオ」やアップル「ホームポッド」が録音場所の空間の広がりが感じられる一方、本製品はすぐ手前で演奏しているような音だ。
価格は直販で1万1550円。高音質を売りにした類似品よりずっと安価だ。スマートスピーカーで一番ストレスがたまるのが、話しかけた言葉を理解してくれないときだが、その点では本製品は優れている。音楽の再生音質に多くを求めない人にはいいだろう。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2020年11月12日付]
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