――地方企業は最初から都市人材を副業で受け入れることに積極的だったのですか?

「ふるさと副業はリモートワークを前提に設計しています。全国の自治体や企業を当初回ったときは、反応は芳しくありませんでした。都心部の優秀人材を紹介できると伝えても、非対面で仕事が支障なくできるのかが不安だったのです。日常的に会わないにしろ、困ったときはすぐに会える距離ではないと仕事は任せられないと企業は二の足を踏みました。自治体を巻き込んだりして徐々に成功事例も増やしていましたが、なかなか事業は広がりませんでした」

「地方企業の意識はコロナ禍で大きく変わりました。地方経営者もZoomなどのビデオ会議を使うようになり、非対面での仕事のやり取りのハードルが一気に下がった印象です。緊急事態宣言が出ていた4~6月はさすがに企業の引き合いも落ち込みました。ただその後は都市人材を活用できるチャンスだと受け止めているようで、ふるさと副業への追い風を感じます」

――このまま定着するのでしょうか?

「課題もあります。その1つは企業側が自社の抱える経営課題解決に必要な業務を適切に切り出し、求人できるか否かです。関心を持ってもらえることは良いのですが、『都市の専門家なら何でも解決してくれるはず』と副業人材に過大な期待を持つ地方企業も少なくありません。だけど副業人材は万能ではありません」

「1つ事例を紹介します。売り上げが伸び悩んでいる地方企業にウェブマーケティング人材を紹介してほしいと相談されたことがあります。オンライン販売サイトを運営し、販路を拡大したいという希望でした。でもその会社の商品は主に地域のシニアがターゲット。ネットにサイトを開いても売り上げ増加は望めそうにありませんでした。紹介しようと思えば紹介できました。でもうまくいかないであろうことは予想でき、そうした失敗事例が増えてしまうと『やっぱり副業人材は使えない』と誤解されてしまいます。都市には地方にいない人材が確かにいます。でも企業側が経営課題をしっかり分析するなり、マッチングをコーディネートできる仲介者がいないと副業人材を使いこなせません」

「都市部への人口集中を是正することは容易ではありません。とはいえ現状のままでは地方は廃れていってしまいます。ふるさと副業は、都市と地方の関係人口を増やすきっかけになります。地方創生のためにも今後広がることを期待します」

(編集委員 石塚由紀夫)

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR