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思考法や仕事術の棚下の平台に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

思考法や仕事術の棚下の平台に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。新型コロナウイルスの感染拡大で減った来店客の戻りは相変わらず鈍い。アニメ映画「鬼滅の刃」の大ヒットで関連コミックこそ売れているが、ビジネス書では目立った売れ筋がない状況が続いている。そんな中、書店員が注目するのは、ビジネス数学の伝道師による、思考法をめぐる本だった。

女子サッカー部が舞台のストーリー

その本は深沢真太郎『わけるとつなぐ』(ダイヤモンド社)。著者の深沢氏は本書の略歴によれば、数学を用いた論理的思考力をビジネスに生かす「ビジネス数学教育」の第一人者とある。大手企業や大学などで研修講師を務め、ビジネス数学の普及に努めている。その第一人者がビジネスに使える論理思考の勘所をストーリー仕立てで語ったのがこの本だ。問題に直面したとき、どう考えたらよいか、その手がかりもつかめないというビジネスパーソンには、おすすめの一冊だ。

ストーリーは女子サッカー部に所属する高校3年生を軸に展開する。サッカーが好きというわけでもなく、何となく部活を続けている部員が集っているサッカー部。それでも、キャプテンを務める主人公は最後の大会で1勝を挙げたいと一念発起して、単身赴任している父親に相談を持ちかける。

すると、主人公のもとに日系ブラジル人の経営コンサルタントが現れる。彼に導かれて女子サッカー部員たちは教室で話し合いを始める。勝てない理由は何か――そこから始まったボールを使わない、考える練習は、ある結論にたどり着き、大会の初戦勝利へとつながっていく。

フレームワークも「わけるとつなぐ」で整理

5日間にわたる女子高生たちの考える練習のプロセスが本書の読みどころとなる。そこで使われるのが「わけるとつなぐ」だ。まず勝てない理由を思いつくままにあげた後、これらをグループに「わける」。わけた理由を矢印で「つなぐ」。これを繰り返すことで勝てない原因が明確になり、自分たちでどうにかできることと、どうにもならないことがわかり、「正解のない問い」への「答え」へと一歩ずつ近づいていく。こんなプロセスを「物語を追体験」することで、「脳と心に深く浸透」させようというのが著者が物語仕立てを選んだ意図だ。

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