50代ひきこもり 悪徳業者も…危険な「専門家」丸投げ中高年のひきこもり(2)

日経Gooday

社会との接点を持たず、家に閉じこもる「ひきこもり」。家族は「心の病気ではないか?」と心配になるが、ひきこもりそのものは病気ではなく、必ずしも治療を必要としない。画像=(C)laymul-123RF
社会との接点を持たず、家に閉じこもる「ひきこもり」。家族は「心の病気ではないか?」と心配になるが、ひきこもりそのものは病気ではなく、必ずしも治療を必要としない。画像=(C)laymul-123RF
日経Gooday(グッデイ)

前回記事(「50代のひきこもり 精神科医が語る『脱出の難しさ』」)では、ひきこもりとは「半年以上社会参加していない、精神疾患ではない、外出していても対人関係がない“状態”を指す言葉」であると紹介した。

ひきこもり問題に長く関わってきた筑波大学・医学医療系教授で精神科医の斎藤環さんは、ひきこもっている人を、何らかの理由で「たまたま困難な状況にあるまともな人」と表現する。しかし、長期化すればするほど、家族の側にも焦りや後悔の念が重くのしかかる。「本当は病気なのではないか、何か治療が必要なのではないか」と、疑念が湧いても不思議ではない。第2回は、ひきこもりと心の病気との関係について伺っていく。

ひきこもりは心の病気ではない?

――親御さんの中には、外部にアドバイスを求めて話し合うなど、様々なことを試してきた方もいらっしゃると思うのです。しかし、「解決には至らずここまで来てしまった」「どうしたらいいか分からない」というのが本音ではないでしょうか。親御さんの中には、「何らかの精神疾患が関係しているのではないか」「医療機関を受診させたほうがいいのではないか」と思い悩んでいる方も少なくないと思いますが、そもそも、ひきこもりは病気ではないのでしょうか?

ひきこもり問題に長く関わってきた筑波大学・医学医療系教授で精神科医の斎藤環さん

斎藤さん 先に述べたように、ひきこもりそのものは社会参加をしない「状態」を指す言葉であって、必ずしも治療を必要としません。「不登校」が診断名ではないのと同様の理由です。ただ、当事者にとっては抜け出せない苦しみを抱えていたり、家族にとっては経済的にも精神的にも負担になったりするので、放置していい問題ではありません。私が考えるひきこもりの問題は、精神・身体・社会など複数の領域にまたがる諸問題の総称であり、「ひきこもり関連障害」として理解することが適切ではないかと思います。

ひきこもりが長期化してくると、二次的な精神症状や問題行動が出ることがあります。症状は多彩で、抑うつ症状、不眠、強迫症、「いじめ後遺症」として起こる対人恐怖(自己臭恐怖、醜形恐怖を含む)、家庭内暴力、摂食障害などが挙げられます。2010年の厚生労働省研究班の報告では、ひきこもり当事者の80%に精神障害があるとされており、病気と無関係とは、なかなか言えません。これらを解決するためには、専門の医師やカウンセラーによる治療が必要になることもあります。

ひきこもりの長期化で出ることがある主な精神症状や問題行動

私の経験から申し上げると、ひきこもりに関連する精神症状や問題行動の大半は、他人の介入や家庭環境の変化で大きく変わります。ひきこもりは困難な問題ではありますが、治療自体はそれほど難しいわけではありません。

――病気が隠れていないかどうか、家族が見極めるポイントはありますか?

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