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4段オートマで一気に加速 オランダ発の電動自転車

電動パーソナルモビリティーの選び方 第2回

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NIKKEI STYLE

電気の力を借りて近距離をラクに移動できる電動パーソナルモビリティーがにわかに人気を集めている。クルマほど場所を取らず、気軽に乗れる。歩くよりはスピードが速く、電気の力でスムーズに移動できる。本連載では、個人が手軽に移動できる新しい乗りものとして、電動キックスケーターや電動アシスト自転車、電動バイクなど、最新の電動パーソナルモビリティーに試乗し、使い勝手を検証する。

スポーツタイプの電動アシスト自転車

今回はオランダ発の電動アシスト自転車、VanMoof(バンムーフ)「S3」と「X3」だ。スポーツタイプの電動アシスト自転車で、「eバイク」と呼ばれるカテゴリーに属する。eバイクは国内外の自転車メーカーから多数の製品が登場しており、盛り上がっているジャンル。 電動アシストの「ママチャリ」は、荷物や子どもを乗せて走る機会が多いことから、低速の力強さを重視するものが多い。一方eバイクは、ペダルを高回転で回しているときのアシストを重視したり、ペダルの踏み込みにダイレクトに反応したりと、よりスポーツ志向の味つけになっているモデルが主流だ。

VanMoof「S3」と「X3」の外観は、先進的かつ独創的。バッテリー、モーター、ライト、警笛、ディスプレーなどはすべて本体フレームと一体化され、ワイヤー類も極力本体フレーム内に通されている。シンプルですっきりした外観で、フレームに大きなバッテリーを載せた一般的な電動アシスト自転車とは大きく違う。内装4段の変速装置は、なんとオートマチック。走行速度に応じて自動的に変速してくれる。

スマートフォンから走行記録が分かる

スマートフォンとの連携も大きな特徴だ。VanMoof S3/X3は専用アプリと組み合わせることで、通常の自転車とは一味違う利用体験を提供している。例えば、アシストの強さ、変速のタイミング、警笛のサウンドなど、アプリ上で自転車を好みに応じてカスタマイズできる。アプリはサイクルコンピューターの役割も果たし、走行距離や走行回数、走行時間といった記録を見られる。またオンラインアップデートによって新機能を追加できるようになっている。

「S3」と「X3」が搭載する機能はほぼ同じ。違うのは大きさで、「X3」のほうがフレームとタイヤのサイズが小さく、小柄な人でも乗りやすい。メーカーサイトによると「S3」は身長170~210センチメートル、「X3」は身長155~200センチメートルの人向けとしている。

価格はどちらも25万円(税込み、以下同)。製造から流通まですべてを自社で行うことで、前モデルから40%ものプライスダウンを実現した。VanMoofブランドストアスタッフの石村響歩氏によると「eバイクは、大まかに分けると15万円、25万円、35万円の3つの価格帯がある」とのこと。VanMoof S3/X3はちょうど真ん中くらいに位置する製品となっている。

ロック解除はボタンを押すだけ

実際に乗ってみて、アプリの恩恵を最も感じたのが、自転車の施錠・解錠だった。あらかじめ登録したスマートフォンを持っていれば、ハンドルのボタンを押すだけで解錠できる。アプリを使って解錠することも可能だ。

一方、カギをかけるときは、後輪の中央部分にあるボタンを"キックする"だけ。これで後輪がロックされる。かがみ込んでの施錠や、チェーンでの固定は必要ない。

「自転車ごと持ち上げて持って行かれてしまうのでは」と心配になるが、VanMoof S3/X3にはそれを防ぐ仕組みが付いている。ロック状態で自転車を動かすと、内蔵の加速度センサーがそれを検知し、大きな警告音が鳴るのだ。動かしている間ずっと音が鳴り続けるので、多くの場合、この段階でいたずらや盗難を諦めるだろう。それでも盗まれてしまった場合、自転車本体に内蔵された通信装置を利用して位置を追跡できる。

「Peace of Mind」という盗難補償プランもある。自転車が盗まれたら、VanMoofの「バイクハンター」が場所を特定し、14営業日以内に回収してくれるというものだ。期間内に回収できなかったら、新しい自転車と交換してくれるというから、いかにVanMoofが自転車のセキュリティーに自信を持っているかが分かる。実際にこのプランは盗難の多いヨーロッパなどでも運用されており、26人の専属バイクハンターが、これまでに750台の自転車を回収したとのこと。2週間以内に手元に戻る確率は75%という実績を誇る。盗難補償は、3年間で3万4000円と決して安くはないが、25万円の自転車でありながら盗難の心配から解放されることを思えば、画期的なサービスといえる。

何も考えなくても自動アシストしてくれる

原宿の直営店から、試乗をスタートした。はじめはフレームの小さい「X3」を選択。フレームの高さが低いので、ラクにまたがることができる。走り出してすぐに感じるのは、強力かつ自然なモーターのアシストだ。軽い踏み込みでスムーズに発進でき、上り坂にさしかかっても一向にペダルを踏む負担が増えない。まるで平地を走っているかのようにぐいぐいと坂を上っていける。ママチャリタイプの電動アシスト自転車とはまったく違う力強い走りだ。

この走りにひと役買っているのが、前輪に内蔵する最大350ワットのモーターだ。350ワットというとちょっと力強い電動キックスケーターと同等レベルで、モーターの力だけで坂道を上れるほどの出力がある。もちろん日本では道路交通法の施行規則により「時速10キロメートル未満のとき、アシスト力は踏力の2倍まで」「時速24キロメートル以上ではアシストはゼロ」などのルールが定められており、VanMoof S3/X3もこのルールに従っている。可能な範囲の中できっちりと、アシスト力を出せることと、その力をコンピューターで細かく制御していることが、爽快な走りにつながっているのではないかと感じた。

石村氏によると、欧州モデルはペダルの回転速度を検知する「RPMセンサー」によってアシスト量を調節するのに対し、日本モデルはペダルの踏力を検知する「トルクセンサー」を採用しているという。これにより「日本モデルはこぎ出しがラクで、よりストップ・アンド・ゴーに強くなっている」(石村氏)。

電動で自動変速する「E-シフター」の存在も大きい。発進時、上り坂など状況に応じて常に最適なギアを選んでくれるから、ライダーはいちいち意識する必要がない。ただペダルをこぐだけで、快適に走ることができる。

この「何も考えずラクに走れる」というのがVanMoof S3/X3の長所。eバイクといってもスポーツ性能を追求するのではなく、そこそこの速度で快適に街を移動するのに向いている。というのも時速24キロメートルを超えるとアシストはゼロになり、100%自分の力でこがなくてはならない。ところがVanMoof S3/X3の重量はどちらも約21キログラムと、スポーツタイプの自転車と比べると重くタイヤも太めなので、スピードを維持するのが大変なのだ。あくまでアシストが効く時速24キロメートルまでの範囲を使って走る楽しいシティバイク、というのがVanMoof S3/X3の性格だと思う。クルマに例えると、カリカリのマニュアル車で走りの鋭さを追求するのではなく、大排気量のアメ車でゆったり街を流すイメージだ。

ブーストボタンで一気にアシスト

といっても、決してVanMoof S3/X3が退屈な自転車というわけではない。アシストが効く速度域に限れば、むしろダイレクトで自然な感覚で加速でき、スムーズで爽快な走りを楽しめる。さらに刺激的なのが「ターボブースト」だ。右ハンドルにあるブーストボタンを押している間は一時的にアシスト量が増え、一気にアシスト上限の時速24キロメートル近くまで加速できる。病みつきになるほど爽快な機能だ。急坂を上るときなど、力が必要なときにも活躍する。

試乗の後半は「S3」に乗り換えてみた。モーターやバッテリーなどは共通なので基本的な走りは変わらないが、こちらはフレームが大きくスピードを出したときの安定感も増すため、よりスポーティーな感覚が強い。個人的には、買い物などで近場を走り回るなら「X3」、通勤などで毎日10キロメートル単位の距離を走るなら「S3」を選ぶだろう。

スタイリッシュで走りも楽しいVanMoof S3/X3だが、人によって困るのが充電だ。デザインを優先してバッテリーをフレームに内蔵した結果、バッテリーだけを取り外せない。このため充電の際は、本体に直接コードをつながなくてはならない。マンション住まいだとこれがネックになる。充電のたびに自転車をエレベーターに乗せ、自宅前まで運ぶ必要があるためだ。戸建てなどで充電場所に困らない方にとってはあまり問題はないだろう。

この「マンションの充電問題」は、多くの電動モビリティーに共通の悩み。駐輪場に共有の電源を用意するなど、充電環境が整備されればもっと電動モビリティーに手を出しやすくなるのに、と思う。

VanMoof S3/X3が1回の充電で走行できる距離は、4段階のアシスト量を最大にした状態で約60キロメートル。毎日10キロメートルの通勤に使うと、ちょうど5日で使い切るくらいの容量だ。

「私は玄関の前に自転車を置いて、自宅内のコンセントから延長ケーブルを使って充電しています」とPRコミュニケーションを担当する浦野誉子氏。満充電にかかる時間は約4時間だから、普段は駐輪場に止め、週に1回だけ玄関前に置いて充電する、という方法もありかもしれない。

強力なモーター、自動変速、そしてアプリ連動と、自転車の概念をアップデートするような工夫が満載のVanMoof S3/X3。このクラスにはスポーツモデルからシティバイクまで他にも魅力的なeバイクが多数あるが、先進性という意味では群を抜いており、未来を感じる乗りものだ。

一方、他の電動モビリティーと比べると、多くが「原付き扱い」としてヘルメット着用や免許携帯といったルールに縛られる中、VanMoof S3/X3はあくまで自転車という枠の中で、最大限に電動の魅力を楽しめる点で実用性が高い。充電の問題さえクリアできれば、現在のルールの中では最も実用的に使える電動モビリティーかもしれない。

(ライター 出雲井 亨)

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