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コロナとインフル同時襲来 医師が助言、喉の防御重要

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

新型コロナウイルス感染症は、国内での累計感染者数は11万人を超えている。コロナとの闘いは長期化を余儀なくされ、今年の冬には、インフルエンザとの同時流行も懸念されている。

今回は、呼吸器内科医で『肺炎を正しく恐れる』(日経プレミアシリーズ)という著書を出した池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんに、コロナとインフルの同時流行という未曽有の事態にどう備え、日々の予防にどう取り組めばいいのかを聞いた。

コロナとインフルの同時流行はあるか?

現在、日々数百人から千数百人の新規感染者が出続けている新型コロナウイルス感染症。今後、冬には、さらに感染が拡大する恐れも指摘されている。

大谷さんの新しい著書『肺炎を正しく恐れる』では、今後予想される「インフルエンザと新型コロナの同時流行」の可能性についても警鐘を鳴らしている。

「2009年の新型インフルエンザのときは、日本では、春や夏の第1波よりも、冬の第2波のときのほうが、大規模な流行となりました。新型コロナも、秋から冬にかけてさらに流行する可能性は否定できず、季節性のインフルエンザとの同時流行の対策も考えておかなければなりません」(大谷さん)

日本では、感染症は気温が低く、乾燥している季節のほうが流行しやすいともいわれている。それはどのような理由だろうか。

「理由はいくつか考えられます。まず、空気が乾燥していると、のどが乾燥しやすくなり、感染症の原因となるウイルスや細菌の侵入を阻む防御システムの働きが弱まること。寒い時期には密閉した空間に人が集まり、感染が起こりやすくなることなどが挙げられます」(大谷さん)

ほかに、医療体制における問題もある。2020年4月には、新型コロナ患者の治療のため医療がひっ迫し、ほかの病気の患者を十分に診療できない状態に陥るのではないかという懸念があった。インフルエンザと新型コロナが同時流行した場合、似たような状態になる恐れがあるという。

秋から冬にかけて懸念される感染拡大の要因

(1)空気が乾燥してくると、のどが乾燥しやすくなり、病原体の侵入を阻む防御システムの働きが弱まる

(2)寒くなると密閉した空間に人が集まり、感染が起こりやすくなる

(3)新型コロナと季節性のインフルエンザが同時に流行すると医療がひっ迫する恐れがある

「インフルエンザと新型コロナは、高熱など症状が似ているので、判別するためには両方の検査が必要になります。例年ですと、高熱が出てインフルの疑いがあるときは、かかりつけのクリニックでインフルの検査が受けられたのですが、今年はそのような検査がすぐに受けられない場合があります」(大谷さん)

今後、秋から冬にかけては、旅行やスポーツイベントなどを楽しむ人が増え、人の行き来が活発になってくることも、感染の拡大傾向につながる可能性がある。我々はどのように自分たちの身を守ればいいのか、大谷さんに詳しく聞いていこう。

乾燥が気道の線毛の働きを弱める

寒い季節になると風邪を引くことが増える、と感じている人は多いかもしれない。その理由の一つは、「気道の防御システム」の働きが弱まるからだという。

「日本では、秋から冬にかけて、空気が乾燥してきます。すると、のどが乾燥しやすくなり、それにより気道の防御システムの力が弱まり、感染のリスクが高まってしまうのです」(大谷さん)

気道とは、鼻や口から肺へとつながっていく空気の通り道で、その表面には細かい毛(線毛)がビッシリと張り巡らされている。線毛の毛先は粘液で覆われており、線毛は口の方向になびくようにゆらゆらと動いているため、異物が入ってくるとそれをキャッチして、ベルトコンベヤーのように口側へと運んでいくのだ。

「感染症の原因になるウイルスや細菌などの病原体が鼻や口から入ってきても、通常は線毛に絡めとられ、せきをすることでたんとして吐き出されます。のどが乾燥するとこの防御システムが弱まってしまうというわけです」(大谷さん)

それでは、のどの乾燥はどのようにして防げばいいだろうか。

 「のどの乾燥を防ぐためにまず活用したいのはマスクです。外出中はマスクを着用し、屋内では加湿器を利用するなどして乾燥を防ぎましょう。水分をこまめにとることも忘れずに。また、口呼吸をしている人はやはりのどが乾燥しやすくなるので、できれば鼻呼吸で。特に就寝中は、口を開けたまま寝てしまうとのどが乾燥してしまうので注意しましょう」(大谷さん)

暖房中でも換気はこまめに

次に、寒くなると密閉した空間に人が集まり、感染が起こりやすくなる、という問題について。

「冬は、ほかの季節に比べて、屋内で活動することが増えます。密閉した空間に人が集まると、感染しやすい状態になります。実際、発展途上国では、換気の悪い屋内で多くの人が過ごすことで、感染症が広まりやすくなるという指摘も出ています。日本でも、いわゆる3密(密閉・密集・密接)には引き続き気をつけましょう」(大谷さん)

暖房の効率が悪くなるからといって、室内を密閉したままにしていると、感染のリスクは高まるばかり。公共の交通機関でも、窓を開けたままの運行や、十分な換気が必要になる。

「換気の重要性がここまで問題になっているのは、新型コロナが密閉された屋内という条件のもとで、空気感染やエアロゾル感染の可能性が指摘されるようになったからです。ご家庭でもぜひ、まめに換気をなさってください」(大谷さん)

新型コロナウイルスの感染経路

空気感染では、飛沫の水分が蒸発して飛沫核となったものが空中に長く浮遊し、それを吸い込むことで感染するので、2メートル以上の距離があってもうつる。結核や麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)などが代表的な空気感染の疾患だ。「当初、新型コロナは空気感染しないといわれていました。しかし最近、狭くて換気の悪い屋内など、状況によっては空気感染が起きる可能性が高いとも考えられるようになりました」(大谷さん)

また、新型コロナでは「エアロゾル感染」の可能性が指摘されている。エアロゾル感染とは、空気感染における飛沫核よりも大きなサイズの粒子が、エアロゾルとして空気中を浮遊して起きる感染のこと。従来は、医療現場での鼻咽頭からの検体採取、気管支内視鏡や人工呼吸器の利用などの際に起きるエアロゾル感染が問題となっており、そのほか加湿器や循環式浴槽でのレジオネラ菌のエアロゾル感染が報告されている。

「新型コロナについては、換気の悪い3密状態ではエアロゾル感染が生じるのではないかと注目されています。さらに、エアロゾルは空気中で3時間浮遊しているという報告もあり(N Engl J Med. 2020;382:1564-1567.)、室内ではきちんと換気をしないと感染リスクが高くなってしまう可能性があります」(大谷さん)

インフルの患者をクリニックで検査できないことも

季節性インフルエンザは、12月から2月ごろにかけて流行する。例年だと、この時期に高熱が出れば、かかりつけのクリニックを受診し、インフルエンザの検査を行うことが多い。この検査では、鼻に綿棒のようなものを突っ込んで検体をとり、15分ほど待てば結果が出る。

だが今年は、高熱が出てもこれまで通りにクリニックで検査を受けることができない可能性がある。高熱の症状だけだと、新型コロナの疑いもあるからだ。「自分はインフルだろう」と思った発熱患者が実はコロナだった場合、クリニックでほかの患者や医療従事者にコロナをうつしてしまう可能性もある。

「味覚・嗅覚の異常があれば、新型コロナの可能性が高くなりますが、それ以外の発熱や倦怠(けんたい)感、悪寒、せきなどの症状は、インフルエンザでも共通しています。実際、私はインフルかコロナか分からない患者さんを、2020年1月上旬に診察しました。その方は、1週間以上、37℃台前半の熱とせきが続き、私のクリニックを受診しました。中国出身の方で、仕事のため中国から来た人と頻繁に接触していました。ただ、『武漢から来た人とは会っていない』ということだったので、PCR検査を受けることができませんでした」(大谷さん)

インフルエンザと新型コロナの両方が疑われた例

防護服などを身につけていない医療従事者がインフルエンザの検査を行って、もしその患者がコロナに感染していた場合、その医療従事者はコロナの感染リスクにさらされてしまう。実際、北海道では、新型コロナの感染者にインフルエンザの検査をした医師が、新型コロナに感染してしまった例が報告されている。これを受けて日本医師会は2020年3月に、全国の医師会に対してインフルエンザの診断における新型コロナの感染リスクについて注意を呼びかけた。

「インフルエンザと新型コロナとの『混合感染』もあるので注意が必要です。中国・武漢の新型コロナ入院患者でも報告されています(J Med Virol. 2020 Mar 20: 10.1002/jmv.25781.)」(大谷さん)

もし、高熱が出たら、いきなり病院に行くのではなく、まずはかかりつけ医などに電話して相談するという手順になる。

「そのクリニックで新型コロナの唾液によるPCR検査に対応していれば、発熱の患者さんを診察できるでしょう。私のクリニックでは、改装してPCR検査が行えるようになりました(「最前線クリニック院長が語る コロナ対策と診療の現場」参照)。また、日本感染症学会から対策として、インフルエンザの検査では従来の鼻咽頭拭い液に代わって、鼻かみ液を使用することで、コロナ感染のリスクを下げることなどが提案されています」(大谷さん)

いずれにせよ、今年はインフルエンザに「なるべくかからない」ことが大切だ。手洗いやアルコール消毒はもちろん、人混みには行かない、換気の悪い屋内は避ける、マスクをしてのどの乾燥を防ぐなどの対策で予防しよう。

そして重要なのは、インフルエンザのワクチンを確実に打っておくこと。「ワクチンを接種しておけば、万が一かかっても軽症で済む確率が高くなります。もしインフルになって重症化したら、体の抵抗力が落ち、コロナに感染するリスクが上がってしまうかもしれません。インフルのワクチンはきちんと打っておきましょう」(大谷さん)

65歳未満でも「肺炎球菌ワクチン」を検討したほうがいい場合も

ワクチンといえば、もう一つ検討しておきたいものがある。それは「肺炎球菌ワクチン」だ。新型コロナ以前は、「肺炎球菌」による肺炎が、肺炎全体で見ても約3割を占めていた。高齢者に対して肺炎球菌ワクチンの接種が推奨され、2014年より自治体から助成が出るようになったのも、そうした背景がある。

「実は、新型コロナにかかったときに備える意味でも、肺炎球菌ワクチンを接種することが大切です。コロナで重症化すると、2次性の細菌性肺炎の合併率が上昇します。そのため、実際の臨床現場では、コロナ患者の人工呼吸器の使用期間が長くなると、細菌性肺炎の対策として抗生物質を点滴することがよくあります」(大谷さん)

高齢者は、肺炎球菌ワクチンを打っておけば、コロナにかかったときの重症化リスクを下げることができる、というわけだ。なお、肺炎球菌ワクチンには「結合型ワクチン」と「多糖体ワクチン」の2種類がある。

大谷さんは「65歳未満でも、肺炎球菌ワクチンの接種を検討したほうがいいこともある」と言う。

「肺炎になったときに重症化リスクが高い人は、65歳未満でもぜひ検討していただきたいです。日本では2020年5月に、慢性的な心疾患、呼吸器疾患、肝疾患、腎疾患、糖尿病などの基礎疾患があるすべての年齢の人が、結合型という種類の肺炎球菌ワクチンを接種できることになりました。私も、せきぜんそくという基礎疾患があることから、56歳ながら接種しました」(大谷さん)

基礎疾患があり、コロナに感染したときの重症化リスクが高い人は、年齢にかかわらず肺炎球菌ワクチンを検討しよう。

◇   ◇   ◇

新型コロナの収束の道筋はまだ見えてこない。だが、感染のリスクをなるべく下げるための予防法や、重症化を防ぐ方法も分かってきた。「コロナは怖いですが、正しい知識を持って、正しく恐れることが大切です」と言う大谷さん。コロナとの闘いはまだまだ続くが、引き続き気を引き締めていこう。

(写真 鈴木愛子)

[日経Gooday2020年9月29日付記事を再構成]

大谷義夫さん
池袋大谷クリニック院長、呼吸器内科医。2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。米国ミシガン大学に留学などを経て、2009年に池袋大谷クリニックを開院。全国屈指の呼吸器内科の患者数を誇るクリニックに。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビ等で情報発信を行う。著書に『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』など多数。最新刊は『肺炎を正しく恐れる』(日経プレミアシリーズ)。

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