そして2020年、新型コロナ感染拡大によって、家庭の「食」に大きな転機が訪れた。

外出を自粛し、自宅で料理をする家庭がぐんと増えたことは、食品宅配にとって強力な追い風だ。「食事が1日のリズムを整える大事な時間だと、みなが改めて感じたはず。でも、忙しいなかで毎度毎度の食事の準備は大変。良質でおいしく、楽に調理できるものを、というニーズが非常に高まっています」

家庭の食卓に到来したニューノーマル。それは今後も変わることなく定着していくとみている。

着る機会、減ってわかったスーツの楽しみ

5月には、シェフのオリジナルレシピ、食材、調味料をセットにしたものを販売した。人気店のシェフ考案の味を家で簡単に再現でき、消費者から好評だった。それは外食業の支援にもつながる。

ネットで社会変革できる領域を探していた。「食の分野は矛盾や無駄が多かった。ネットで解決できると考えて起業しました」

消費者が産地を支援する「応援買い」への関心が高まっているのに合わせて、大量に余った食材の販売も考えている。「困っている生産者を助けて、ちょっとしたぜいたくを家で味わう。そんな食の世界での『応援経済』が、コロナによって定着していくでしょう」

テレワークが進み、社内でスーツを着る人が目に見えて少なくなった。昨年までは当たり前のようにスーツを毎日着ていた高島さんも、週2回ほどに着る機会が減った。それでも、ここぞ、という大事なミーティングや会食の時には、迷いなくスーツに身を包む。

スーツの好みは一貫している。「細身で、無地かストライプ。ダークカラーのスリーピースが好きで、ネクタイは無地の細いもの」

ここ10年ほど、自宅近くのテーラーでよくスーツを作るようになった。ちょっとした遊びを取り入れられるのがオーダーの良さ。ベストのボタンを1つだけ変えるといった、自分にしか分からないこだわりを楽しんでいる。

今回着たブラウンのスーツは、あまり着たことがない色で新鮮だった。端正なデザインながら軽めに仕立てられ、着心地の良さが気に入っている。「20年スーツを着続けて、スーツが作業着のようになっていた」という高島さんは、スーツを着ない日もできたことによって、逆にスーツを楽しめるようになったと話す。

米国では食とITを融合したフードテックベンチャーが非常に元気。一方で日本の食は世界で一番おいしいといわれながら、食品ベンチャーが経済的に成長する環境にないと感じている。「日本でもそういう環境をつくりたい」と、19年、食のスタートアップに投資するコーポレートベンチャーキャピタル「Future Food Fund(フューチャーフードファンド)」を設立した。国内外の先進的な食、農、ヘルスケア領域への積極的な投資を進めている。

優れた生産者がいて、消費者の舌も肥えている日本で、新たな食のニーズを模索する。「波に乗ることはできても、波を発生させることはできない。波が来たことに気づくことが大事。プラスの波でもマイナスの波でも」。先が見えない20年も小さな波を見逃さず、全力でぶつかり、食で人々をハッピーにしたい。「スーツは戦闘服みたいなもの。毎日がチャレンジですので、状況を切り開くために必要な装いです」

(Men's Fashion編集長 松本和佳)

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