畑にはスーツと長靴で 「ビジネスパーソンの戦闘服」スーツ・オブ・ザ・イヤー2020受賞者インタビュー(4)高島宏平さん

「私のビジネス人生は昔もいまも、基本的にスーツなんです」スーツ:ビームスF(9万2000円)、シャツ:エリコ フォルミコラ(2万6000円)、タイ:ジエレ(1万5000円) 時計:グランドセイコーSBGA201(52万円)価格はすべて税別 撮影:筒井義昭
「私のビジネス人生は昔もいまも、基本的にスーツなんです」スーツ:ビームスF(9万2000円)、シャツ:エリコ フォルミコラ(2万6000円)、タイ:ジエレ(1万5000円) 時計:グランドセイコーSBGA201(52万円)価格はすべて税別 撮影:筒井義昭

「スーツ・オブ・ザ・イヤー2020」は今年も独自の挑戦を続け、際立つ存在感を示した5人を表彰した。新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるい、多くの既成概念がリセットされるなか、新たな日常の基盤となる価値観を提示し、人々を勇気づけ、常に未来に目を向ける受賞者の方々のインタビューを連載する。一人ひとりの個性と響き合う、メッセージが込められたスーツにも注目していただきたい。




ビジネス部門
高島宏平さん
オイシックス・ラ・大地社長

大切な食事 「おいしく、簡単に」を届ける

今や全国4000もの農家と契約し、仕入れた野菜や食品を直接家庭に届ける食品宅配のリーダー的存在。だが高島宏平さんが2000年にオイシックスを創業した当時は、取引してくれる生産者を開拓するのが至難の技だった。

自ら生産地に足を運んでも、突然の来訪者を誰も相手にしてくれない。なんとか自分自身を農家の人に覚えてもらいたい。ではどうすればいいか。思いついたのが、スーツに長靴をはいた姿で畑を回る、というアイデアだった。

スーツという身なりで信頼感を得ようとしたわけではない。「スーツを着た若者が畑にやってきた、という強烈な違和感を狙った」のだ。狙い通りに、あのスーツ着た奴はなんだ、と珍しがられて効果は抜群。「本当は若者が農村に来ること自体、珍しかったんですけどね」。起業して20年、死に物狂いで食品宅配の道を開いてきた。「私のビジネス人生は昔もいまも、基本的にスーツなんです」

大学院修了後、マッキンゼーに入社してITのコンサルタント業に携わった。どのような領域にインターネットを活用したら社会変革を起こせるかと考えていたさなか、ふと興味を引かれたのが食の世界だった。

すばらしい食材をつくっても生産者が経済的に厳しいという矛盾。良質な野菜が規格外というだけで廃棄される無駄。成分内容は食品のパッケージの裏を見なければ分からない。こうした課題は「すべてインターネットで解決できること。そう気付いて起業したんです」

食のベンチャーを支援することも次なる目標だ。食のスタートアップに投資するコーポレートベンチャーキャピタルを立ち上げた

安心・安全なものを求める志向の高まり、共働き・単身世帯の増加や高齢化の加速などによって、食の世界に大きな変化が生じている。高島さんは食材の調達ルートを広げながら、ライフスタイルの変容に合わせて、規格外野菜の販売や簡単に調理できるミールキットなどを開発し、ヒット商品に育てていった。

SUITS OF THE YEAR 2020

新型コロナウイルスの影響で、2020年は初のフルCGで作成した会場でのバーチャル授賞式。
時代の節目に挑み、大切なメッセージを放つ5人を表彰した。

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着る機会、減ってわかったスーツの楽しみ
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