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通販フェリシモ「推し色」戦略 オタ活から新ブランド

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カタログ通販大手フェリシモの新ブランド「OSYAIRO(おしゃいろ)」。自分の「推し」のイメージカラーを常に身近に置きたいという若い世代や女性の嗜好を捉え、自ら「オタ活」にいそしむ社員の部活動から生まれたブランドだ。

フェリシモは、自社EC(電子商取引)サイト上を中心にファッション小物などを販売するブランド「OSYAIRO(おしゃいろ)」を、2019年11月に立ち上げた。OSYAIROは、「おしゃれ」「色」という言葉と、「推し」「色」をかけた言葉。「推し」とは、「他者に薦めたいほど好きな(応援する)人・モノ」。もともとはファンが一推しで応援する芸能人や架空のキャラクターのことで、その推しの人物が着用する衣装や所持するアイテムで表現するイメージカラーが「推し色」だ。

OSYAIROが目指すのは、「推し色を日常に取り入れ、色があふれる暮らしを楽しむ」ことだ。会社帰りにそのままライブに行けるよう、うちわやペンライトなどを入れてもはみ出さないトートバッグや、ファンレターに使える上質紙のセット、簡単に付け外しできるネイルシールのセットなどジャンル横断的なブランドだが、どの商品も、推しのイメージカラーとして使われることの多い赤、青、緑、紫、黄、黒などに合わせて多色展開している。

「部活動」からブランドを開発

フェリシモは会員登録制の通信販売によって、実店舗を通さずに直接顧客に商品を届けるダイレクトマーケティングを行う。大きく分けて紙の通販カタログと、ECサイトの2種類のチャネルで顧客と接点を持ち、ネットやはがき、電話などで注文を受ける。20年には新型コロナウイルス感染症の影響で「巣ごもり消費」が増加した結果、同社が発表した2021年2月期第2四半期累計期間(20年3月1日~8月31日)の連結業績は、売り上げが前年同期比18.5%増(161億6700万円)、経常利益は同399.3%増(8億9800万円)を達成した。

ECにおけるDtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)のビジネスモデルが注目を浴びる中、通販事業を手がける同社はストーリー性の高い商品ブランドの開発に取り組んできた。ユニークなのが、社員が自発的に運営する「部活動」だ。

10年に猫好きの有志が立ち上げた「猫部」が、独自企画の商品販売やイベント運営を開始。会社も部活動を奨励し、11年には「女子DIY部」も活動を始めた。その後、「猫部」などが会社の正式な一部門として事業化。19年春には会社の方針として、業務時間の2割程度を部活動に充ててもよいことになり、現在は「海とカモメ部」「小鳥部」「魔法部」など主なものだけで14もの部活動があるという。フェリシモの部活には趣旨に賛同する社外の人も参加でき、SNS(交流サイト)運営やイベント、独自商品の企画などを通じてコミュニケーションの輪を広げている。

OSYAIROも、その流れを受けて「オタ活部」の活動から始まったブランドだ。部長としてOSYAIROの立ち上げから企画開発、運営を担うクラスターMC本部ファッションMC統括グループメディア編集・制作グループの山川真記代氏は、オタ活部を始めた理由をこう説明する。

「フードコートをはじめとして、衣、食、住のすべてのものが『エンタメ化』している。芸能、歌謡、舞台など、本家のエンタメも流れに乗ってブームにならないわけがない。このトレンドを、少し引いたところでファンと一緒に楽しみながら、コンテンツや商品を提供したいと考えた」

OSYAIROが開発した商品の多くは、観劇やライブイベントで使うもの。ブランド開始早々、イベントの多くがコロナ禍で中止が決定したことで、社内でも20年春以降は新商品の発売延期を検討する声が上がった。しかし、「『推し活(推し活動)』ができないからお金を使う場所がないので、今発売しても売れるのではないか」と予想して、20年も続々と新商品を発売し、合計10シリーズを展開(20年10月22日時点)。狙い通り売り上げは好調という。ブランドを立ち上げた19年11月と20年9月との比較で受注件数は8.6倍、売り上げは14倍になった。

山川氏は、普段はフェリシモの主要ファッションカタログ「IEDIT(イディット)」の編集を担当。OSYAIROを立ち上げるきっかけになったのは、アイドル文化に親しみのあった山川氏が、本格的に推し活を始めたことだ。

自身が楽しむための応援グッズを考えたときに欠かせない要素だと気づいたのが、「色」だという。

部活動の推進を図る執行役員理事兼クラスター開発本部生活雑貨事業部部長の若狭文男氏も、「従来は4色集めて楽しむのが色を楽しむ企画のあり方だったが、最近の顧客は紫なら紫のバリエーションで4色楽しむようになった。likeではなくmustでその色を選んでいる」と見ている。その若狭氏と相談しながら、山川氏を含めた5人の社員でOSYAIROを立ち上げた。

「紙メディアによるコミュニケーションでは、どうしても何十万人という規模の顧客に向けた商品開発になる。紙のカタログに依存せずに顧客との関係を築き、大小様々な規模で共感していただけるような顧客と社員のコミュニティーをたくさん作りたいというのが当社の方針」(若狭氏)

「推し活」以外にも広がる可能性

OSYAIROでは補佐的に携わる数人のメンバーを含めて、全員が本業のノウハウを生かして商品開発や広報活動を分担し、販促でも連携している。

その成果の一つが、観劇を趣味とする部員が開発して20年10月1日に発売した、推し活で遠征するときに便利な「トラベルボストンバッグ」だ。特に、観劇で遠征する場合は、観劇用の服や靴も持って行くので荷物がかさばる。キャスター付きのバッグを使う人もいるが、できれば肩に掛けたり背負ったりできる大容量のバッグを使いたいという声を受けて開発した。

この商品はIEDITのカタログやインスタグラムでも紹介している。ツイッター上でも、ウェブメディアが取り上げて拡散したことにより5000回以上のリツイートに成功した。

いざというとき背負えるトラベルボストンバッグは、華道の指導者が購入するなど、本来の意図を超えて別の用途のために使用するユーザーも見られるという。ライブや観劇の好きなファン向けの商品企画だが、デザイン性と機能性に別の面からも光が当たった。

1990年半ば以降に生まれた20代前半(Z世代)が10代の頃には、アイドルの人気投票がマスメディアを通じて大々的に実施されるエンタメ文化が流行した。山川氏によれば、「この世代は応援する、という文化がベースにある。推しがいる人が普通で、いない人のほうがマイナーなほどだ」という。OSYAIROがターゲットとするのは、推し色を楽しみたいが、それをおおっぴらにすることにはやや抵抗を感じる層だ。

山川氏は今後、若手のアイドルファンにも直接訴求できる企画や、より汎用性の高い新商品の開発も検討したいという。

同社は、これまでにも「色」というテーマを大切に扱ってきた。92年に同社が米国に出店した際にコロンブスのアメリカ大陸発見500周年をテーマに発売し、4回にわたってリメークした「500色の色えんぴつ」や、これと「社内コラボ」で山川氏が手がけた「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS 紙の専門商社 竹尾が選ぶ 500種類の紙セット」といった記念碑的な企画がある。この紙セットは累計約2万3000セット、売り上げは約3500万円を記録している。OSYAIROは劇場やライブ会場への外出をイメージしやすいファッション分野から始めたが、食器などの生活雑貨の分野にも「色で楽しむ」商品のカテゴリーを広げていきたいという。

(ライター 丹野加奈子)

[日経クロストレンド 2020年10月28日の記事を再構成]

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