目利き編集者が厳選 企業経営めぐる欧米最前線の思考紀伊国屋書店大手町ビル店

経営書コーナーの棚端の平台に面陳列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)
経営書コーナーの棚端の平台に面陳列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。来店客はかつての6割ほどという厳しい状況は今も変わらない。ビジネス書のスマッシュヒットもなかなか現れてこない。そんな中、書店員が注目するのは、ビジネス誌の記者・編集者が経営学や経済学の欧米トップクラスの研究者に今何を考えているかを取材し、その知見をまとめた一冊だった。

ポーター氏やコトラー氏も

その本は広野彩子編著『世界最高峰の経営教室』(日経BP)。著者の広野氏は週刊ビジネス誌「日経ビジネス」の副編集長。同誌やそのオンライン版、さらには書籍の形で経営学や経済学に関する企画を数多く執筆・編集してきた。そのネットワークを生かして、2019年から20年にかけて同誌に連載された欧米の経営学者らへのインタビューや寄稿をまとめたのが本書だ。

まず並んだ名前がすごい。『競争優位の戦略』のマイケル・ポーター氏、『両利きの経営』のチャールズ・オライリー氏、マーケティングのフィリップ・コトラー氏といった著名な大御所もいれば、マーケットデザインという最近注目の集まる経済学の新分野を専門とする実力派の若手研究者もいる。そんな教授陣に一部はオンライン取材も駆使して、今日的な関心を鋭くぶつけ、最先端の知性が紡ぐ言葉を引き出していく。

経営学の最前線と言われると難しそうと身構えてしまうが、そこは気軽にページをめくるとよい。例えば、第1講で登場するマイケル・ポーター氏が話すのは、最高経営責任者(CEO)の時間の使い方についてだ。直接報告する人物の役割や電子メールとのかかわり方、プライベートの時間までタイムマネジメントの重要性を指摘する。

日本企業はどうすれば変われる?

イノベーション理論の最前線、株主第一主義の行き詰まり、環境が激変する中でのリーダーシップの在り方、経済学の視点を取り入れた最新の経営論、デジタルトランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)、日本型経営の課題と可能性……。17人が語るテーマは多彩だが、そこを取材者である広野氏の関心が一本につないでいく。

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