文房具、民具… 専門家おすすめのユニーク事典10選

文房具や民具、どんぐりなどを扱ったユニークな事典が増えている。著者や編者の限りない探究心と詳しい解説には驚くばかりだ。図版が豊富な、家族で楽しめる変わり種事典・辞書を専門家が選んだ。

■1位 文房具語辞典 630ポイント
ペン・定規・はさみ… 止まらぬ雑学

「文具王」として知られる高畑正幸さんが集めた、怒濤(どとう)の豆知識。文具メーカーの名称の変遷から聞いたこともない万年筆の部品の名称や「紙で手を切る」のような現象の解説まで、文具というテーマ一つでどこまでも深く掘り下げる。

ゼブラの往年のヒット商品「シャーボ」のデザインにアップルの最高デザイン責任者だったジョナサン・アイブ氏が関わっていた逸話には驚くばかりだ。

中野香織さんは「三角定規の穴の理由や定規と物差しの違いについてのコラムは目からうろこ」と評価。斎木健一さんも「文具そのものだけでなく、関係する人物の紹介も楽しい。ベルヌーイのカーブ(対数らせん)を応用したはさみがあるとは知らなかった」と驚く。

カラーの親しみやすい図版が豊富。子どもも目を輝かせて楽しめる。

(1)著者・編者名 高畑正幸(2)出版社 誠文堂新光社(3)税込み価格 1760円

■2位 絵引 民具の事典 普及版 610ポイント
君の名は イラストで検索

地方の旅館などで見かける衣服を掛ける調度「衣桁(いこう)」。名前を聞かれても答えに窮するが、本書があれば古い民具の名前や用途が簡単に調べられる。なぜなら名前を知らなくても「字引」ならぬ「絵引」、つまりイラストを見ながら検索できるからだ。

著者は国立歴史民俗博物館の名誉教授などを歴任した民具の専門家ら。モノクロだが「緻密で見やすい1500点ものイラストは圧巻」(内田剛さん)。神山葉さんは「日本の暮らしの歴史を知ることができ、絵を見るだけでも家族で楽しめそう」と評価する。

(1)岩井宏實、工藤員功、中林啓治(2)河出書房新社(3)3300円

■3位 図説 日本戦陣作法事典 510ポイント
ルールだらけの戦場を図解

出陣式では主将は南に向かって陣の中央に座り、武装してもかぶとはつけない。式が終わって馬に乗るときは現代馬術と逆の右側から。江戸時代の出陣式には「小笠原流」や「伊勢流」があるなど、戦には数え切れないほど細かいルールがあった。

領内の武士に出陣を促す陣触(じんぶれ)など決まり事だけでなく、戦場に集まる物売りや遊女の振る舞いなども解説。「周辺の村々への影響など細部に目配りした視点が読ませる」(藤村せつ子さん)。約170点の分かりやすい図版も筆者の作。約350項目の合戦用語集も充実。

(1)笹間良彦(2)柏書房(3)3960円

■4位 世界の文字の図典 普及版 480ポイント
マヤ文明から衆参の違いまで

世界のあらゆる文字を収録し、成立から現状、読み方、使われ方を解説した力作。マヤ文明の絵文字やクレタ島の象形文字など、全容が未解明だったり消滅したりした文字を含む約1200点の図版を掲載。国会の速記術に衆議院式と参議院式があるなど、文字のトリビアが満載だ。

「世界の人々が知恵を絞って作り出した文字の奇妙さ、複雑さ、美しさを堪能できる」(西村まさゆきさん)。日本語の印刷用文字の見本など付録も充実。漢字の変遷や同じ文字のさまざまな書体を掲載し、デザインに興味がある人にお薦め。

(1)世界の文字研究会(2)吉川弘文館(3)5280円

■5位 図説 日本未確認生物事典 460ポイント
うごめく114種の妖怪

天狗(てんぐ)や河童(かっぱ)など有名どころから封(ほう)など耳慣れないものまで、日本の妖怪や幻獣114種類を、歴史文献の目撃記録などを引用しながら分かりやすく解説。江戸時代の和本や錦絵など豊富な図版を掲載したのが売り物だ。

角川ソフィア文庫の一冊で、著者は「図説 日本戦陣作法事典」と同じ。「水木しげる作品などを見てより深く妖怪を知りたくなったらお薦め」(高田高史さん)。「妖怪ファンにはおなじみの参考文献がそろい、興味をそそる」(松村幹彦さん)との声も。古書の引用部分は子どもには少々難しいが、地の文は読みやすい。

(1)笹間良彦(2)KADOKAWA(3)1320円

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