歩く量が2週間足りないだけ 筋トレ3カ月分台無しに筋肉とたんぱく質(上)

日経Gooday

たった2週間の運動不足で筋肉量が減少

藤田教授が問題視するのは、活動量不足による筋肉量の減少だ。

「歩数を普段の3割ほどに減らすという研究では、たった2週間で筋肉量が約4%減少しました」(下グラフ)。

オンラインで取材に応じる藤田教授。

たった4%、と侮ってはいけない。「筋トレを3カ月間一生懸命頑張っても、増える量は3~4%ほど。それだけの筋肉量が、活動量の減少によって一気に減るということが示されたのです」(藤田教授)。

通常に生活していても、筋肉は30歳代以降1年に1%ずつ減っていくといわれる。少し運動不足が続くだけでも、短期間のうちに、まさに老化の凝縮ともいえる現象が進行するのだ。

とはいえ、歩数を減らすだけで筋肉が減るというのは、意外な気も……。筋トレもせず、ただ通勤や買い物などで歩いているだけでも筋肉が維持されていた、ということなのだろうか?

「歩くこと自体がとても重要で、歩くことは筋肉量の維持に貢献しています。もちろん歩くよりも負荷をかける筋トレは大切ですが、歩数が一気に減ることによるリスクは想像以上に大きいのです。寝たきりの状態になると筋肉量が大幅に減少しますが、トイレに行くなど、少しでも歩数を稼ぎ、筋肉を多少なりとも使うことによって筋肉量の減り方が変わることもわかってきています」(藤田教授)。

運動不足を反省してしまうが、「それも自然な現象です。動かなくていい環境ならば、筋肉を無駄に持っていてもエネルギーを食うだけなので、体が必要ないと判断すれば、筋肉が減るのは当然の結果なのです。だからこそ、意識的に運動習慣を取り入れることが大切です」と藤田教授は言う。

歩数を減らすと筋肉量が減った

10人の健康な高齢者男女(平均年齢72歳)に、活動量を減らすよう指示。毎日の歩数を2週間にわたって減らし、その前後でインスリン感受性や筋力、身体機能、体組成を測定した。平均歩数は5962歩から1413歩と約76%減少。その結果、脚の骨格筋量は約3.9%有意に減少した。インスリン抵抗性が増加、インスリン感受性が減少、炎症物質が増加、また、筋肉合成速度が約26%減少した。(データ:J Clin Endocrinol Metab. 2013 Jun;98(6):2604-12.)
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