リモートワークや外出自粛が通常モードになって、運動不足がすっかり定着――。そんなコロナ禍での「不活動」が、「筋肉を減少させるだけでなく、全身の健康リスクを高めている」と警鐘を鳴らすのは、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授。「体を動かす」という基本的な習慣が、若々しい体の維持をいかに支えているか再認識しよう。
「コロナ不活動」で世界中の人が運動不足に
今なお感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症。在宅勤務によるリモート生活が定着したり、出かけることが減ったりするなど、運動不足を実感している人も多いのではないだろうか。
このパンデミックによって世界的にも運動不足が起こった、という報告が、医学雑誌「Nutrients」で発表されている(下グラフ)。
報告は、パンデミック前後の生活スタイルの変化を明らかにするための国際調査の先行解析によるもの。その結果、激しい運動、中等度の運動、ウォーキングの時間、いずれも30%程度減った一方、座り時間が30%ほど増えていた。
また、同時に行われた食生活調査では、ステイホーム期間は不健康な食品を摂取する頻度が高まり、食べる量をコントロールできなくなり、間食や深夜の軽食の頻度が高くなり、反対にアルコール摂取は減少する、という傾向が見られた。
あなたの生活と重なる部分も多いのではないだろうか。
「コロナ禍によって、感染拡大を防ぐために、通勤や通学ができなくなり、これまで当たり前だった日常生活の活動量が大きく減少しました。ヨーロッパではロックダウンを行った都市でも我慢できず外に出始めた人が多かった一方、日本では緊急事態宣言が解除された後も、現在までずっと活動の低下状態が続いていることも指摘されており、体への影響を危惧しています」と、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は言う。
ステイホームによって活動量が低下