コロナ禍で罵り受ける電話相談員 努めて保つ心の平衡

悩みが高じ、自ら命をたつことをほのめかす人もいる。相談員の立場としては、そうしたケースは想定の範囲内だが、「いざ電話口で『これから死ぬ』と言われると、ドキッとする」と玉置さん。悩みを打ち明けているうちに、自然と落ち着いてくるケースがある中で、「そんなんじゃ何の解決にもならない」と耳元で罵倒される機会も最近は増えた。ただでさえ解決策は一筋縄ではいかない中、「コロナ禍で一層、ストレスを募らせ、一人思い悩み、追い詰められている人たちの実態を痛感する」と玉置さん。

元来、本好きだった玉置さんは大学を卒業後、教科書会社に就職。営業担当として、学校回りを長年、続けてきた。その仕事の過程でモノを売るより、先生たちと話すのが楽しみな自分に気づいた。同時に、学校現場で心を病む教員が多い現実も目の当たりにする。

「誰かの役に立つ仕事がしたい」と教科書会社を辞めて、精神保健福祉士の資格を取得した玉置さん

「人を相手にして、誰かの役に立つような仕事がしたい」。12年間勤めた教科書会社を辞め、精神障がいの人たちに寄り添い、手を差し伸べることができる国家資格、精神保健福祉士の資格取得を決意したのは、そんな思いからだった。専門学校に1年通い、資格取得のための要件を満たした。晴れて資格を取得した後は、千葉県内の精神科・神経科主体の総合病院で、患者らと対面での面接経験などを7年積んだ後、ダイヤル・サービスの電話相談員に転じ10年が過ぎた。

病院勤務時代に重ねた対面相談では、悩みの本題に入るまでとかく時間がかかった。その点、電話相談は「今話したいからかけた」という人が多く、単刀直入で話が早い。活字だけのメールやラインとも違って、相手の声のトーンや間がリアルタイムに伝わってくる。「把握できる情報量が電話は多く、顔が見えない分、相手の声に集中できる」と玉置さんは電話相談ならではのメリットを説く。

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