コロナ禍で罵り受ける電話相談員 努めて保つ心の平衡
ダイヤル・サービスのベテラン電話相談員、玉置和彦さん。多い日は相談が1日8件に上ることも
企業などの委託で、従業員らの相談を電話で受け付けるサービスを手掛けるダイヤル・サービス(東京・千代田)。ベテラン相談員の一人、玉置和彦さん(54)は新型コロナウイルス禍で「心が一段と弱っている人が増えた」と感じている。電話口で罵られるケースも増え、心が折れそうになることも少なくないが、それでもなお寄り添おうとする電話相談員の胸の内とは――。
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「社内でリモートワークが認められるのは正社員だけ。どうして非正社員の私たちは毎日職場に出ないとダメなのか」
「社内にコロナウイルスの陽性患者が発生したのに、その事実を自分だけ知らされず、ショックだ」
コロナ禍絡みで玉置さんが、最近受けた悩み相談の一例だ。日々感染におびえながら出勤したり、在宅勤務が増える中で従業員間の情報ギャップに思い悩んだりしている人たちの姿がそこに浮かぶ。
ダイヤル・サービスは1969年から電話相談業務に取り組む国内企業の先駆け。大手から中小まで数多くの企業や自治体からの委託を受け、従業員らのメンタルヘルスや職場での様々なハラスメント相談などに応じている。受託先は現在600強、1カ月の相談・通報件数は約2万5000件で、女性の勤労者を中心に幅広い層から寄せられるという。2020年4月の相談・通報内容を分析すると、2割強がコロナ絡みだった。社内の休業補償基準の変更に関する疑問・不満や、社内のオンライン会議でのパワハラにまつわる通報・改善要望などもあったという。