リモートワークがもたらした「実力可視化」社会

「伸びる業界や企業もあれば、沈む業界や企業もある」ということと同じように、個人のキャリアについても「成長の余白が大きい人と付加価値が下がり始める人」という見方は可能です。たとえばコロナ禍でリモートワークが一気に進んだ結果、会社にいなくても成果を出せる人材と、従来型の働き方の中で何となく機能してきた調整型の人材の間で、生み出す価値の格差が注目されています。

多様な業界・企業の現場で、従来の労働環境があったから必要とされてきた仕事が、労働力としての需要を失うことになったり、従来の環境の中でしか成果を生み出せない人が明確に可視化されたりする現象が起こっています。

また、このリモートワーク環境の広がりは、個人個人の働き方に自立性が求められるという意味で、個人事業主型の副業についても大きな追い風となっています。いわば新型コロナという脅威のおかげで、日本的な働き方が想像もつかなかったスピードで変わろうとしているのです。

こういうシーンで最も弱さが出てしまうのは、40歳を過ぎるまで一つの大企業に勤め、その企業には最適化されているが、社外とは隔絶されている「純粋培養」のプロパー社員。こういう人たちが初めての転職に踏み込む場合には、転職そのものの恐怖感(ほとんどが先入観でしかないのですが)で行動がフリーズしてしまうこともあります。

単に大企業が厚遇だったからとか、転職マーケットの相場を知らないからではなく、「(一つの勤め先で得た)単一の視点しか持っていないこと」が主な原因になっていることが多いと考えています。

「自分の生涯キャリア」を見晴らしてみる

そのようなピンチを迎えないために、どうすべきか?

まずお勧めしたいことは、自分の仕事人生の全体像を俯瞰できる、見晴らしのいい場所に移動してみることです。とはいえ、物理的にそういう丘のような立地があるわけではないので、視界だけでも移動してみる方法をご紹介します。自分の仕事人生を俯瞰的に見るために、パソコンを開いて表計算シートで以下の作業をやってみていただければと思います。

縦軸を0歳~80歳、横軸を1月~12月として表を作ると、960カ月分のセルが出来上がります。仮に寿命を80歳だと仮定してみると、この960カ月が人生の全体を俯瞰した一覧表となります。

人生見晴らしマップは表計算ソフトで簡単に作れる

小学校、中学校、高校、大学、就職(1社目)、転職(2社目)という具合に、自分の生きてきた道を、このセルに書き込んでいってみてください。たとえば、体力や気力を考えて、仕事人生をいったん70歳までと考えて、70歳の誕生日をリタイア予定日だと仮定すると、現在地点からそこまでの残り月数が可視化できます。

この真っ白な残り時間を、どんな仕事人生にしていきたいのか。あるいはどんな仕事人生であれば作り上げることができるのか。10分もあれば作れるこの表を見ながら、人生設計の思考を巡らせてみてほしいと思います。

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「逆算思考」でキャリアに保険をかけていく