映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』でアニメ声優に初挑戦した宇垣さん

中国製アニメに感じた「親近感」

今年、初挑戦したのはアニメ声優。中国で興行収入3.15億人民元(約49億円)のヒットを記録したアニメ映画の日本語吹き替え版『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』に参加し、人間の姿をして生きる「花の妖精」を演じている。

「オファーをいただいた時は、びっくりしました。よくお仕事で映画や書籍の感想は書かせていただくので、そういうお仕事かなと思っていたら、声優のお仕事。しかも、ラジオ番組で『今、海外アニメがすごい!』という特集をした時に、中国アニメで話題になったのが、この『羅小黒戦記』だったんです。とても光栄だなと思うと同時に、『未経験の私が入ることによって、世界観を乱さないだろうか』という怖さも感じました。

収録のブースに立つと、まずどこを見たらいいのか分からず、混乱しました。モニターに映像が流れるんですけど、そこに書かれている日本語字幕が、台本のセリフと違うんですよ。さらにうっすら中国語のセリフが聞こえてくるので、『どこに合わせればいいの~っ?』って。しょっちゅう日本語字幕を読んでやり直しになったりして……とにかく必死でした」

宇垣さん演じる花の妖精(C)2020映画「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来」製作委員会(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

『羅小黒戦記』は、19年に日本語字幕版が小規模公開され、アニメファンの間で話題に。それを受けて今年、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏ら人気声優を迎えて日本語吹き替え版が製作された。

「日本アニメの息吹みたいなものをすごく感じました。例えば深い森のシーンは、『もののけ姫』のようなジブリ映画を思い出しましたし、戦闘シーンは『NARUTO-ナルト-』をほうふつとさせたり。色彩感覚や笑いのツボも、日本のアニメに近いものがあるなと。それを見ることで、『中国の人も同じようなものを見て育ったのかな』とか『同じものを見てすごいと思って、同じものを見てカッコイイと思うんだろうな』と感じましたね。

そうやって外国を身近に感じられるのも、エンタメの持つ力の一つ。ぜひそこは感じていただきたいです。これから日本のアニメを見て育ったクリエイターが世界からどんどん出てくるんじゃないかと思うと、楽しみです」

『羅小黒戦記』で好きなキャラクターは「妖精のフーシー」だという。「進んで悪役になることで世界を守りたいと思う人が好きなんだと思います」
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