中国製アニメに感じた「親近感」
今年、初挑戦したのはアニメ声優。中国で興行収入3.15億人民元(約49億円)のヒットを記録したアニメ映画の日本語吹き替え版『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』に参加し、人間の姿をして生きる「花の妖精」を演じている。
「オファーをいただいた時は、びっくりしました。よくお仕事で映画や書籍の感想は書かせていただくので、そういうお仕事かなと思っていたら、声優のお仕事。しかも、ラジオ番組で『今、海外アニメがすごい!』という特集をした時に、中国アニメで話題になったのが、この『羅小黒戦記』だったんです。とても光栄だなと思うと同時に、『未経験の私が入ることによって、世界観を乱さないだろうか』という怖さも感じました。
収録のブースに立つと、まずどこを見たらいいのか分からず、混乱しました。モニターに映像が流れるんですけど、そこに書かれている日本語字幕が、台本のセリフと違うんですよ。さらにうっすら中国語のセリフが聞こえてくるので、『どこに合わせればいいの~っ?』って。しょっちゅう日本語字幕を読んでやり直しになったりして……とにかく必死でした」
『羅小黒戦記』は、19年に日本語字幕版が小規模公開され、アニメファンの間で話題に。それを受けて今年、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏ら人気声優を迎えて日本語吹き替え版が製作された。
「日本アニメの息吹みたいなものをすごく感じました。例えば深い森のシーンは、『もののけ姫』のようなジブリ映画を思い出しましたし、戦闘シーンは『NARUTO-ナルト-』をほうふつとさせたり。色彩感覚や笑いのツボも、日本のアニメに近いものがあるなと。それを見ることで、『中国の人も同じようなものを見て育ったのかな』とか『同じものを見てすごいと思って、同じものを見てカッコイイと思うんだろうな』と感じましたね。
そうやって外国を身近に感じられるのも、エンタメの持つ力の一つ。ぜひそこは感じていただきたいです。これから日本のアニメを見て育ったクリエイターが世界からどんどん出てくるんじゃないかと思うと、楽しみです」