西大和学園、富士山頂への執念が育む「日本一」の目標西大和学園中学・高校(上) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

富士登山2度目にしてついに雪辱を果たした=西大和学園提供
富士登山2度目にしてついに雪辱を果たした=西大和学園提供
奈良県にある西大和学園中学校・高等学校は東京大学や京都大学に多くの卒業生を送り出す。創立から30年超で有力な進学校に成長した。その原動力には日本一の富士山に登る、という成功体験を積ませることがあるようだ。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が訪ねた。

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中2で全員が富士山に登る理由

奈良県の西大和学園は、創立してまだ三十数年しかたっていない。しかし2010年には京大合格者数で全国1位になり、2020年には東大に53人の合格者を出した。全国では11位、西日本の高校に限れば2位である。

開校当初からの伝統行事がある。富士登山だ。その心は「日本でいちばん高いところを目指す」。生徒に日本一高いところを目指させるだけではなく、学校として日本一を目指すという意思表示だった。

例年、中2の7月に3泊4日の日程で行われる。初日は学校から富士山麓までバスで移動しホテルで1泊。2日目に五合目から登山を開始し、七合目の山小屋で1泊。3日目の早朝から頂上にアタックする。麓で1泊して疲れを癒やしてから学校に帰る。毎年ほとんどの生徒が頂上到達の目標を達成する。

しかし16年には不運が襲った。雨が降ったりやんだりする状況が続き、生徒たちの体力消耗は激しかった。ようやく九合目近くまで来たときに雨が強まり、経験豊富なガイドが下山を判断した。

「生徒たちの表情は、『マジですか?』と、泣きそうな感じでしたよね。なかにはまだ体力に余裕がある生徒もいました。彼らは登頂できたと思います。でも200人を超える人数で無理をすれば、誰かが低体温症や高山病になるかもしれない。苦渋の決断でした」と学年部長の藤岡正悟先生はその瞬間を振り返る。

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