さらに、豪州やタイなど計8カ国18大学と相互に授業を履修できるプログラムも始め、オンラインを積極的に活用した教育交流を試みる。

こうした取り組みは、東洋大が国際事務局を務めるアジア太平洋大学交流機構(UMAP)のネットワークを活用している。UMAPは1991年に豪州の呼びかけで発足した学生交流のための任意団体。22カ国・地域から600超の大学が参加し、日本も国公私立の115大学(2019年10月時点)がメンバーだ。

「当面はコロナ以前の留学形態には戻らないだろう。海外滞在は短期間にし、あとは母国でオンライン対応するといった『ハイブリッド型』が現実的。低予算で高い効果が得られるプログラムの開発が必要だ」と、芦沢教授は見通す。

ホームステイを疑似体験

民間企業も留学希望者を支援するプログラムを模索する。18年から留学ツアーを手がけてきた旅行大手のクラブツーリズムは、オンラインで英会話学習と国際交流を1日で体験できる「オンライン留学ツアー」を10月18日に実施した。

参加者は、午前中に英会話教室のイーオン(東京・新宿)の講師から英会話を学び、午後からは、オンラインでつないだカナダのプリンスエドワード島の家庭でホームステイを疑似体験した。

ヘレンさんはカナダの名産品、メープルシロップを日本の参加者に画面越しに披露=クラブツーリズム提供

ステイ先のヘレンさんは、「赤毛のアン」の舞台として知られる島についてスライドで説明。時折、夫や飼っているネコを画面に登場させるなど、日本からの参加者がその場にいるかのような雰囲気を演出していた。

参加した10代から70代までの25人の参加者のほぼ全員が英語で質問や会話をするなど、「せっかくの機会を無駄にしないようにと積極的だった」(クラブツーリズム)。

「キャンセル待ちが出るほど反響があった」として、11月28日と12月19日にも追加で実施。今後は、数日間のコースなども検討していくという。

日本から海外に留学する学生の数は2017年度には10万人を超え、コロナ禍以前は増加傾向だった。文部科学省が14年度から大学の国際化を財政面などで支援する「スーパーグローバル大学」の制度を始めるなど、政府の後押しも寄与したといえる。
 ただ、留学事情に詳しい東洋大の芦沢真五教授は1カ月未満の短期留学が極端に増えた一方、長期留学の伸びは鈍かった状況に注目。「人数など数値だけでなく、留学の学習成果など質的な側面により注目すべきだ」と指摘する。
 国際交流を維持するため、オンラインを活用する動きは今後も定着しそうだが、現地に身を置かなければ得られない価値もある。ウィズコロナ時代の留学プログラムをどう再構築するか、関係者は問われている。(編集委員 木村恭子)

[日本経済新聞朝刊2020年11月2日付]

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