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凄腕プログラマーは猫好きが多い?

凄腕プログラマーは猫好きが多い?

フェイスブックやグーグル、アマゾン、ツイッターといったサービスをお使いの読者は多いでしょう。こうしたプラットフォームを開発するのは一体どういった人たちなのか、そんな凄腕(すごうで)プログラマーはどのように考え、行動し、デジタル世界に大きな影響を与えるソフトウエアとサービスを生み出しているのか――。

この問いに真正面から取り組んだ書籍がクライブ・トンプソン『Coders(コーダーズ) 凄腕ソフトウェア開発者が新しい世界をビルドする』(井口耕二訳、日経BP)です。世界がデジタル化するにつれて、重要性がより高まるソフトウエア開発者の実態を描いた内容は、凄腕プログラマーを目指す人たちだけでなく、彼ら・彼女らといっしょに働くビジネスパーソンにとっても、よりよりサービスを生み出すうえでの大きなヒントが得られるでしょう。

以前、ソフトウエア開発者向けの雑誌を編集していたとき、次のようなアンケートを実施したことがあります。「あなたは猫と犬のどちらが好きですか?」アンケートは編集後記に掲載する息抜きコラムのためで、編集時に浮かんだ素朴な疑問を聞くのに適したものでした。

このときの素朴な疑問は「プログラマーには、猫好きが多いのでは?」というもの。プログラマーに書いてもらった特集や連載の記事には、犬よりも猫が多く登場するように感じていたためです。たわいもない質問ですが、読者であるソフトウエア開発者のことをもっとよく知りたい、彼ら・彼女らのニーズに適切に応えたいという思いの一環でもありました。

著者のクライブ・トンプソン氏。ニューヨークタイムズマガジンの記者兼ワイアードのテクニカルライターで、プログラミングが趣味の「コーダー」でもある Photo by Liz Maney

著者のクライブ・トンプソン氏。ニューヨークタイムズマガジンの記者兼ワイアードのテクニカルライターで、プログラミングが趣味の「コーダー」でもある Photo by Liz Maney

このソフトウエア開発者の志向と実態を深堀りした書籍が、『Coders(コーダーズ)』です。本書を編集しているとき、思わず冒頭のアンケートを思い出しました。

本書でいう「コーダー」は、プログラムの大元となる「ソースコード」を書く人を指しており、「プログラマー」や「ソフトウエア開発者」と事実上同じ意味で使われています。一般にはプログラマーの方がなじみ深いでしょう。

著者のトンプソン氏が本書を書こうとした背景には、プログラマーの社会に与える影響がとてつもなく大きくなっている現実があります。本書内では、フェイスブックのソフトウエアアップデートでのエピソード(フェイスブックの機能が変わると、ユーザーの行動も変わる)を紹介しながら、次のように書いています。

 最近、ハイテク会社を立ち上げている人々、つまり、なにを開発するのか、どういう問題を解決するのか、いや、そもそも、なにが「問題」であるのかを決める人物は、技術系が増えている。小さいころからコードを書きつらねてきた人間で、会社立ち上げの元となるプロトタイプをみずから作り上げた人物が創業するようになっているのだ。
 こうして、プログラマーは、人知れず大きな影響力を行使するようになった。我々の世界がソフトウェアでできているとすれば、プログラマーは建築家だと言える。彼らがなにか決定を下すと、それに応じて我々の行動が変わる。彼らがなにかをやりやすくすると、我々は、それをすることが増える。逆に、なにかをしづらくしたりできなくしたりすると、そういう行動が減る。
(第1章 リアルを変えたソフトウェアアップデート、17ページ)

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