リモートで広がる「脱転勤」 キャリアの選択肢増やす

2020/11/3
勤務中の関西支店から東京本社の会議に参加する赤坂営業管理部在籍の土屋響子さん(上、東京都千代田区の三菱地所プロパティマネジメント)
勤務中の関西支店から東京本社の会議に参加する赤坂営業管理部在籍の土屋響子さん(上、東京都千代田区の三菱地所プロパティマネジメント)

転居をせず、リモート勤務でほかの地域の仕事をこなす「リモート転勤」が広がりつつある。女性はこれまで結婚や子育てなどの理由から転勤をためらう例が多かった。転居せずに幅広い経験を積むことができれば、キャリア形成の可能性がぐんと広がりそうだ。

業務を洗い出し、現地対応を最小限に

三菱地所プロパティマネジメントは昨年から、転居せずオンラインで異動先の業務をこなす「あたらしい転勤」の実証実験を進めている。同社はオフィスビルや商業施設の運営・管理で全国に顧客や物件を持ち、「何か起きれば現場に駆けつける」のを鉄則とする。不動産業界は契約書や押印など紙文化も根強い。実験開始前には仕事の5割がリモートに対応できない「現地マスト」業務だった。

当初、社内からは「リモートでは無理」といった声も上がった。そこで業務を洗い出し、(1)社内や顧客との会議のオンライン化(2)書類の電子化(3)現地の担当者との業務分担見直し――などを実施した。現地マスト業務を全体の5%まで縮小させ、テナントとの交渉など現地対応が欠かせない業務のみ出張でまとめて対応するという新たな仕組みを作り上げた。

昨年9月から1カ月間、東京本社と横浜で働く女性3人が支店のある大阪や名古屋に滞在し、地方支店から東京本社の業務をオンラインでこなす試みを実施した。これまで現地マストとされてきた業務をリモートでできるか検証するためだ。

仕組み作りの中心を担ったのは営業職の女性たちでつくるチーム。「移動時間を短くでき、お客様からの急な問い合わせへの対応などが早くなった」。リーダーを務めた中央営業管理部兼働き方改革推進部の吉野絵美さんは手応えを感じたという。

今年9月からは2021年度の制度化に向けた追加実験も進める。関西支店から東京の業務をこなす土屋響子さんは「東京にいるだけでは得られない経験や知識を持てた」と前向きだ。対象を男性にも広げ、地方支店の社員が東京に来て支店業務をこなすケースも試す。東京本社から名古屋支店の業務を担う平城洋輔さんは「転居を伴う転勤は家族との生活にも関わる問題。働き方の選択肢が増えるのはありがたい」と話す。

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