鳥の目と虫の目が大事 「要するに/例えば」で切り替え
第18回 抽象思考
「戦略」をあなたの言葉で説明してください
私たちは普段たくさんのビジネス用語を使って仕事をしています。ところが、その意味を問われると案外うまく説明ができず、できたとしても人によって意味が違っていたりします。典型的なものに「戦略」という言葉があります。
今年は、コロナショックのせいで、大幅に戦略を見直した企業が多かったのではないかと想像します。その戦略とは何でしょうか。「戦略とは?」と問われたら、何と説明をしますか。
この質問に対する答え方は大きく2通りあります。一つは、「企業の長期的な作戦である」「ビジョンを具現化するための基本方針」「選択と集中を明らかにしたもの」といった、戦略の定義を述べるやり方です。
ちなみに、Wikipediaには「特定の目的達成のために、総合的な調整を通じて力と資源を効果的に運用する技術・理論」と書いてあります。「さすがうまい説明」と思う方もいれば、「難しくてサッパリ分からない」と感じる人もいます。そこでもう一つの説明の仕方があります。
「たとえば、かつての日本軍は、南方の天然資源の確保とアメリカの太平洋艦隊に打撃を与えることを狙い、アジアとハワイを同時に攻めた。こういうのを戦略と呼ぶ」というやり方です。具体例で示すわけです。
「経営学では『いかに勝てる位置取りをするか?』というポジショニング論と、『いかに資源を最大限に活用するか?』というケイパビリティー論の2つの考え方がある」という学説を紹介するのも同じ範疇(はんちゅう)に入ります。2つの説明は、根本的に何が違うのでしょうか。