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三菱鉛筆会長 数原英一郎氏

三菱鉛筆会長 数原英一郎氏

筆記具大手、三菱鉛筆の数原英一郎会長は1987年に社長に就任した。長年同社のトップを続ける中で、リーダーの役割は「平時」「緊急時」「変革期」で変化すると考え、状況に応じて使い分けてきたという。一方、トップを30年以上続ける中でも「社員とのコミュニケーションは変わらずに重視してきた」と語る。「現場の変化を察知するのがトップの役割」と考えるからだ。

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――リーダーに必要な条件は何でしょう。

「一言で表すと信用信頼です。少なくとも信用してもらわないと何事も始まりません。私は父である先代の社長から引き継ぐ形で、38歳で社長に就任しました。若くして社長になったので、周りの社長の人たちに比べて経験があるわけではありません。取引先などからは『あいつで大丈夫なの? 』と心配されていたと思います。自分としては社内で経験も積み、父の姿を参考に学んでいたつもりだったので不本意に感じる部分もありました。でも、周りから見れば、不安に感じてしまうのも当然ですね。なので社長に就いてからは、人一倍努力して、一つ一つ実証していくことが信頼につながるはず、と信じてやってきました」

「『倦(う)むことなかれ』という孔子の言葉を大事にして、地道に努力しました。社員を役員や管理職などに抜てきした時に、『どういう気持ちでやればよいのですか』と聞かれることがあります。そのときに伝えるのは、飽きずにコツコツやってほしい、ということです。仕事を続けていると、途中で飽きてしまうこともありますが、そこで折れずに続けることが重要です。もちろん、結果は運不運もあって、思うようにいかないこともあります。でも、少なくとも誠実にやっていくスタンスを持つことが、働く上での大前提だと思います」

――ご自身はどういうタイプのリーダーだと思いますか。

「平時と緊急時、変革期でそれぞれリーダーシップのあり方は違うと考えているので、その時の状況でしょっちゅう変わっています。音楽の指揮者で考えると分かりやすいのですが、リハーサルと本番では指揮者の役割は全く違いますよね。リハーサルでは個人個人に指導したり、駄目ならやり直したりもできますが、本番ではやり直しはできないので楽団を信頼してやりきるしかありません」

「会社でも、平時は長期の目標や価値観を掲げながら努力を続けるようなリーダーシップを取ります。反対に緊急時であれば、みんなで団結することを重視します。また世の中の状況が変わるような変革期であれば、従来とは違うことをすることが求められるので、道筋や目標を示してハンドルを違う方向に切らないといけません。その時その時でリーダーのタイプを使い分ける必要があります」

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