ラジオ好きが高じた結果、Creepy Nutsはアルバムをリリースする際に「ラジオ盤」というものまで制作している。8月26日にリリースしたミニアルバム『かつて天才だった俺たちへ』でも同様。オープニングトークから始まり、曲と曲の間には楽曲紹介のトークが収録されているというものだ。これは深夜ラジオの延長線上にあるものだそうだ。

(写真:佐賀章広)

松永 昨年出したアルバム『よふかしのうた』で、初めてラジオ盤を作ったんですが、正直セールスの伸びがよかったんです。なのでこれを1回出しちゃうと、もう普通の通常盤は出せないというか(笑)。もういっそのこと雛形にしちゃおうみたいな感じですね。

R‐指定 俺らならではのものがあるのは、すごい強みと思ってて。俺らにとって大事な要素である“ライブ”を入れたライブDVD盤と、もう1つの重要な要素である“ラジオ”が入ったラジオ盤。そこに差はなくて、それぞれの良さを楽しんでもらえるようになっています。

松永 Rさんの書く曲ってギミックが多くて、何回聴いても聴き応えがあるというか。1回聴いただけではなかなか全部の要素を汲み取れないほど、いろんなものが詰まってる。その曲の解説が入れば、新しい聴き方だったり、実はこういう良さが詰まってるみたいなことを伝えることができるかなって。あと、ライブのMCでやる曲フリみたいな感じにもなればなと。

R‐指定 そうそう。俺はラップミュージック自体が話芸やと思ってるんです。ライブ中のMCはいわば枕で、曲が演目みたいな。ラジオ盤はその役割を果たしてくれてる。しっかり枕として楽曲紹介するものもあれば、全然関係のないオススメの飲食店の話をしたりもする(笑)。でもその関係ない枕が、後々つながっていったりもしています。

今までで1番苦労した曲に

今回のニューアルバムには、菅田将暉とのコラボレーション楽曲を2曲収録する。Creepy Nutsにしては珍しいロックナンバーの『サントラ』、もう1曲は、ザ・ハイロウズの『日曜日よりの使者』のカバー曲だ。実はこれを作ることになったきっかけもラジオだ。菅田将暉が『オールナイトニッポン』の月曜日を担当しており、昨年の7月頃からお互いの番組で「楽曲提供したい」「一緒にやれたら面白いかも」などとメッセージを発信し合うなかから実現したそうだ。

R‐指定 昨年8月に菅田さんのラジオに出演させてもらったときに「じゃあ一緒に曲を作りましょう」となったんですけど、なかなか制作に入れなくて。松永さんが「DMC」の国内大会で優勝し、その後「DMC」の世界大会でロンドンに行って世界一になってという期間も経て、10月ぐらいにやっと作ろうと。ただそこからまたごちゃごちゃとなって(笑)、今年に入ってようやく制作が始まったという流れですね。

松永 昨年の下半期は本当に忙しくて。ただ、その後コロナでライブができなくなったことで、良くも悪くも曲を作る時間ができた。今回は初の外部ボーカル曲ということで、菅田さんの声の特徴を生かすなら、やっぱりロックチューンかなと。ただ自分たちがやったことのないジャンルだったんで、手癖では作れず、積み上げてはゼロにするという、トライアンドエラーの繰り返しでした。

R‐指定 菅田さんと歌詞の打ち合わせをしたときは、お互いの仕事の話ばかりで盛り上がっちゃって(笑)。2人の目線がそこにあるってことは、テーマは仕事かなと。それに菅田さんが俺らの曲の『生業』を好きと言ってくれてたので、Creepy Nutsと菅田将暉の生業を対比して書こうと決めました。ただそこから作り始めたんですけど、なかなか大変で…。

松永 俺もそうだけど、本当にすごく時間がかかってたよね。

R‐指定 本当に何パターンも作りましたね。曲の1行目にある「悩み事/隠し事/私事だらけを書く仕事」という歌詞は、もともと自分のラップを語るときに、いいフレーズやと思っていたもの。じゃあ菅田さんはどんな仕事やろう? みたいな感じで作ったのが2行目の「悩み事/隠し事/のみこんで笑顔でやる仕事」。そういった感じで、それぞれを対比させて作っていった歌詞を松永さんに見せたら、「めっちゃいいじゃん」って言ってもらえて。

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あえて削ぎ落した歌詞
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