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2階ビジネス書売り場のメインの平台に4列に積み上げ展示する(三省堂書店有楽町店)

2階ビジネス書売り場のメインの平台に4列に積み上げ展示する(三省堂書店有楽町店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は準定点観測書店の三省堂書店有楽町店だ。訪れたのは大ヒットアニメ映画「鬼滅の刃」公開2週目の土曜日。レジは原作本はじめ関連書を求める顧客で大きなにぎわいを見せていた。ところが、コミックと同じ2階にあるビジネス書売り場は一転、静けさに包まれている。そんな中、書店員が注目するのは、新聞や雑誌の過去記事を経営知の教材にする知的作法を説いた経営センスの鍛錬本だった。

新聞・雑誌は寝かせて読め

その本は楠木建・杉浦泰『逆・タイムマシン経営論』(日経BP)。『ストーリーとしての競争戦略』などで知られる経営学者の楠木氏が「社史オタク」ともいえる在野の社史研究家、杉浦氏に声をかけて生まれた本だ。

著者たちは言う。「新聞・雑誌は寝かせて読め」。「近過去に遡り、その時点でどのような情報や言説がどのように受け止められ、どのような思考と行動を引き起こしたのか。近過去を振り返って吟味すれば、本質を見抜くセンスと大局観が錬成され、自らの仕事にも大いに役に立ちます」。ここに「逆・タイムマシン経営論」の眼目があるという。この作法をいくつもの事例で試み、まとめたのが本書だ。

例えば「400万台クラブ」と本書は「はじめに」で典型例を挙げる。1990年代後半のバズワードだ。当時は「年間400万台生産しない自動車メーカーは淘汰される」と喧伝(けんでん)された。400万台クラブ入りを目指して買収や合併、提携が相次いだ。ところが、現在から振り返れば、「400万台クラブ」はすっかり死語となり、多くの合併や提携が解消されている。過去記事を寝かせて読めば、「同時代性の罠(わな)が経営判断を大きく誤らせた」ことが見えてくる。近過去に遡ることで物事の本質を見極め、個別のファクトだけでは得られない因果関係についての論理を知り、特定のファクトが生起した背景や状況といった文脈を理解することができるのだ。

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