多くの先生は、生徒から「なぜこの教科を学ばなければならないのか?」と質問されたことがあるのではないでしょうか。上記の意見は、教員や学校現場が持つ課題感に対して1つの答えを示してくれています。生徒が地域の当事者になれる機会をつくることによって、各教科の学びと社会とのつながりや学びの意義が見えてくると、私たちも考えています。

隠岐島前高校の事例を1つ紹介します。当校では生徒が島の課題を発見し、自ら解決策を考える実践型の授業があります。あるチームは「耕作放棄地」に目を付け、地域の方々に畑での耕作を諦める理由を聞いてまわりました。そして、実際に畑を借りて、栽培に手間のかからないさつまいもを自分たちで育てることにしました。

収穫するときには地域の人や小中高生にも呼びかけて「あまり手間をかけずに育てられる」ことをアピールし、実際に収穫したさつまいもを使って芋煮をつくって、地域のイベントで販売して収益を上げることにも成功しました。耕作放棄地の問題がそれによって解決したわけではないですが、課題解決に向けて1つの事例を示しました。

やったことは簡単なことのように見えるかもしれませんが、高校生が自分で課題を設定し、多様な意見を取りまとめ、折り合いをつけながら意思決定することは簡単なことではありません。このプロセス自体が学びです。また、学びがあるのは生徒だけではありません。先述の生徒の姿に触発され、畑をやってみようかと背中を押された大人もいたと聞きます。地域の人も気付きを得られる、そういう好循環を実感しています。

フィールドワークをする島前高校の生徒たち

ささいな日常に社会課題は隠れている

「レンタル学生」というユニークな仕組みを考えてくださった方もいました。

「地域の問題を学生たちがアルバイトしながら空いた時間で労働力を提供することで、学生たちも経験やお金がもらえるという仕組みです。(中略)地域の問題は多岐にわたり、なんでも屋を学生が担うことで学生は様々な経験をつめ、のちのちの進学や就職に役立つわけです」(タカハシケンジ/書くンジャーズリーダーさん)

それぞれのニーズまで考えられた面白い視点です。隠岐島前高校が位置する隠岐諸島の島前地域(海士町、西ノ島町、知夫村の3町村が位置する)では、65歳以上の高齢者人口が40%を超えるところもあります。労働力不足もさることながら、日常生活においても人手が足りていないのが現状です。

買い物に行きたい、物置から重い荷物を出したい、庭の草刈を手伝ってもらいたい――。若い人からみると実はささいなことに手が足りていないことが多く、そうした社会問題に学校が直接貢献できるアイデアですね。

「社会問題」や「地域活性化」と言うと、身構えてしまうかもしれませんが、世代の違う人と関わり、それぞれの話に耳を傾けると、社会には様々なニーズがあることに気付かされます。ささいに見える「お手伝い」にこそ、学びや社会をよくするヒントはあふれていると思います。

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