2020/11/16

この科の魚にはまた、ライギョの仲間が空気呼吸に使用する「上鰓器官(じょうさいきかん)」がない。空気呼吸を可能にするこの器官のおかげで、例えばカムルチー(Channa argus)という種は、生息域を広げやすく、北米などでは厄介な侵略種となっている。

さらに、ドラゴンスネークヘッドには目があり、皮膚に赤茶色の色素を持つ。体が白く、目を持たないものが多い地下の魚としては珍しい特徴だ。

別の角度から見たゴラムスネークヘッド(PHOTOGRAPH BY RALF BRITZ)

なぜドラゴンスネークヘッドがこうした特徴を持っているのかは不明だとしながらも、ブリッツ氏はその理由を、彼らが地下にばかりいるわけではないからなのかもしれないと推測している。

ドラゴンスネークヘッドの移動の仕方は、ヒレを波打たせるという独特なもので、ウナギが水中を前後に移動するのと似ている。こうしたやり方はおそらく、地下の狭い空間を移動するのに役立っているのだろう。ブリッツ氏によると、その動きは「風に吹かれるベールのよう」で、見つめているとうっとりしてしまうそうだ。

ジョンソン氏は、ドラゴンスネークヘッドは、ウナギ目の原始的なパラオムカシウナギ(Protoanguilla palau)とよく似ていると述べている。パラオの海底洞窟で発見された魚で、ジョンソン氏が筆頭著者を務めた12年の論文で同定された。

新たな科となったこのウナギの仲間は、ドラゴンスネークヘッドと同じように親類たちが失った古代の形質を有しており、それは長い時間をへた現在に至るまであまり変化していない。

こうした生きた化石が、なぜ多様化せずに生き残っているのかは謎のままだ。「その理由は、わたしにはとうてい理解できません」と、ジョンソン氏は言う。

(文 DOUGLAS MAIN、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年10月21日付]