300以上の音声番組を独自配信

Podcastでの新規ユーザー獲得やIPビジネス展開を狙う企業がある中で、音声メディアの独自路線を突き進むのが16年9月にサービスを開始した「voicy(ボイシー)」だ。

インフルエンサーや芸能人などによる音声コンテンツを300チャンネル以上用意。同社のランキングには、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣氏や脳科学者の茂木健一郎氏などインフルエンサーを中心としたそうそうたるメンバーが並んでいる。しかもそのどれもが毎日、または数日置きといった高頻度なペースでコンテンツを更新。ユーザーは20~30代の社会人が多く「特にビジネス系のチャンネルが人気」(voicyの堤強一氏)だという。音声メディアのプラットフォームを目指しているためPodcastのような多方面への配信は行っておらず、各チャンネルはvoicyのサイトやアプリでしか聴けないというのが他のサービスと決定的に違うところだ。

7月時点の月間ユーザー数は昨年の4倍程度と急増。「AirPodsなど完全ワイヤレスイヤホンの浸透で、音声メディアを利用しやすい環境が整ってきたほか、テレワークなど自宅で聴く人も増えてきた」(堤氏)という。

チャンネルを持つパーソナリティーは常に募集をしており1週間に200~300人程度の応募があるが、実際に通過できるのは何と1%以下。「多くの人に聴いてもらえそうか、ジャンルがかぶるパーソナリティーはいないか、など総合的に審査している」(堤氏)という。

人気のチャンネルには企業のスポンサーが付くこともある。また、voicy内にチャンネルを公開して認知を広げたい企業の運営サポートを行うほか、「社内の人だけに限定配信する“声の社内報”を運営するサービスも請け負っている」(堤氏)。voicyは利用料が基本的に無料だが、こうした部分での収益化を図っていく。

9月には月額100~3万円で限定コンテンツも聴くことができる「プレミアムリスナー」をスタート。一部のパーソナリティーが通常の無料配信に加え、プレミアムリスナー限定の配信を始めたところ1週間で登録者が1000人を突破した。オンラインサロンのような音声メディアはPodcastとは違った進化をしていきそうだ。

独自プラットフォーム配信でPodcastと差別化

「澤円の深夜の福音ラジオ」元マイクロソフトの澤円氏がビジネスや人生について語る。人気ランキングの常連チャンネル
「文藝春秋channel聴く雑誌」文藝春秋編集部の公式番組。時事ネタや書籍の著者へのインタビューなどを配信している
「ながら日経」日本経済新聞の主要な記事を約10分間にまとめたダイジェスト。ほぼ毎日更新されている

(日経トレンディ 佐々木淳之)

[日経トレンディ2020年11月号の記事を再構成]

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