――コロナによって様々な常識の壁が破られました。変化の大きさは想像以上ですか。

「これほどの熱気は想像がつきませんでした。昨年までネットオークションはライブに比べて盛り上がりに欠けていました。一部の業者が、作品を安く手に入れられる絶好の場、と目を付けていたくらい。ところが今、参加者がどんどん増え、ネットの方が高値になるケースも出てきています。面白いのは、ウォーホルのぶどうのシリーズなど、『インスタ映え』する作品は、一般の査定額よりもかなり高値になることです」

ネット競売、日本で時計人気高まる

――一方でライブオークションはどう変わっていますか。

「6月にネットと融合させる形でライブオークションを再開しました。オークショニアがいるロンドンのスタジオは無観客。ニューヨーク、香港、ロンドンの拠点にいるサザビーズの社員の電話を経由して入札します。パソコンのクリックで入札してくる人もいます。その様子が世界中にライブ配信される。世界同時中継なので、コンマ数秒の配信の遅れも許されません。スポーツの無観客試合より臨場感がありますよ。6月のメーンオークションの視聴者はなんと16万人。有料制にしたらすごいことになったはず(笑い)」

「そこで一番高く売れたのが、約90億円で落札されたフランシス・ベーコンの絵画でした。人がいない会場で半分はネットオークション、今までだったらそんな高額な作品はライブオークションでなければだれも出品しようとは思わなかったはずです。ですが、5月のオークションが6月に延期となり、いまの状況ではこれしか方法がないと出品者がOKしてくれた。この前例ができたことは大きいです。ついでにいうと、最終的に競っていたもう1人はアジア人で、電話ではなく、パソコンのクリックで参加していたのです」

「ネットオークションでは『インスタ映え』する作品が売れるみたい。一般的な作家の作品相場よりも高くなって、あれ?って」

――ネットオークションでは時計への関心が高まっているそうですね。

「時計熱がすごい。サザビーズでは3月以降、50回も時計のオークションを開き、時計の落札総額で業界トップに躍り出ました。旅行に行かない、外食しない、ならばお金を何に使いたいか、と考えたときに、時計の優先順位が上がったのでしょう。時計は、メカが好きで凝り性の日本人に向いています。規格品ですのでオークションもやりやすい。日本人の時計コレクターはほんとうに多いんですよ。時計は毎週のようにネットオークションを開催して、何週間かに一度、大きなライブオークションをする。そのスタイルは今後ほかの分野でも定着していきそうです」

――アートの入門者は、まずどのような作品の買い方をすればいいのでしょうか。

「好きなものを買うこと。モネが好きだったらポスターを手に入れることから始めたらいい。好きなものから入って追求していくと、もっと好きになるかもしれませんし、深みがないな、と気付くかもしれません。そのうちに自分の好みがはっきり見えてくるのです。あとは買い方です。投資の世界では分散投資をすすめますよね。でもアートでは、自分のお金で買える、いいものを一点、買うことをおすすめします」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)


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