リスクをどう乗り越えるのか

どうやったらパラレルキャリアにおける「広く浅く」リスクを乗り越えられるのでしょう? 一つひとつの新しい経験を、どうしたらdot(新しい強み)にできるのでしょう?

それは、シャイン的に言えば新しい領域での「サバイバル」能力があるか、であり、複数のことを同時期にこなす「並列処理」能力があるか、でしょう。前者こそが連載の5~7回で述べたことでした。

(1)業務効率:分ける、早めにやる、寝る
(2)情報収集・昇華力:対比、反常識、数字、抽象化
(3)決める力・伝える力:共通言語としての重要思考

いずれも対象領域によらないジェネラル(普遍的)な能力です。いや、自分にとって「新しい」領域だからこそ、こういった自律的な学習能力や業務遂行能力が必須となります。

本業でサバイバルを図りながら、同時に新しい領域への挑戦をこなすのは大変です。ただそのための並列処理能力は、(1)業務効率の「早めにやる」に尽きるのかもしれません。

個々のシゴトを毎回起承転結繰り返すのではなく、作業で細かく区切ってなるべく早めに手をつけます。それによって自分のペースで効率高く、複数のシゴトを回していけます(連載5回参照)。

パラレルキャリア実現への最後の、そして実は最初の壁は「変化を楽しむ心」でしょう。変化、つまりリスクを受け入れ、楽しむ心がないと一歩が踏み出せませんから。

でもこのどれも自ら鍛えられるもの。リスクにしても小さいことから練習すればいいのです。Kickstarterなどのクラウドファンディングなんて最高です。自分で調べて選んで決めて、お金を出して(支援)、その成果を見守ります。リスクを取る練習をしながら、世界中のモノづくりの現状が知れるなんて最高です。

「あなたの人生は長い、でも自己変革に残された時間はそれほど長くはないよ」がグラットンのメッセージです。私も心して、このパラレルキャリアを歩いていこうと思います。

さていよいよ次回は最終回。テーマは「経営戦略論を個人のキャリアに当てはめたらどうなるか」。自分という会社を統べる経営者として、あなたはその小企業をどう方向付けますか?

三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授。
1964年大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業後、BCG、アクセンチュアで19年半経営戦略コンサルタントとして活躍。92年INSEADでMBA修了。2006年から教育分野に活動の舞台を移し、年間1万人以上に授業・講演。無類の本好きとして知られる。著書に『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』『新しい経営学』など。『お手伝い至上主義!』『戦略子育て』など戦略視点での家庭教育書も。早稲田大学ビジネススクール・女子栄養大学で客員教授、放課後NPOアフタースクール・認定NPO 3keysで理事を務める。永平寺ふるさと大使、3人娘の父。

戦略読書 〔増補版〕 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 三谷 宏治
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 1,100円 (税込み)

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