2020/10/29

公的な制度を上手に活用する

【対策2】 「公的な制度を利用しながら長く働く」

この先の経済や社会情勢がどうなるか予測できないのが現状でしょう。以下のような制度を利用しながら、できるだけ長期間収入を得る……つまり働ける間はできるだけ働く、という対策が現実的かもしれません。

技術や資格の取得などを考えている人は、雇用保険の「教育訓練給付」を利用すれば、最大で168万円(専門実践教育訓練給付金)の給付を受けることができます。

自治体によっては、資格取得講座を格安(もしくは無料)で実施しているところがあります。こちらは、雇用保険は関係ありませんので、その地域に住んでいれば(働いていれば)利用できます。

たとえば、東京都では、都内に自宅か勤務先があり、中小企業で働く人を対象に「キャリアアップ講習」を実施しています。講座内容は幅広く、簿記や2級建築士、介護福祉士などの受験対策、アプリ開発やC言語などのプログラミングに関するものなど、例年通りであれば年間約600コースを実施しています。今年は新型コロナウイルスの影響で、講座数や定員が減っている場合があります。最新の情報は、以下で確認してください。

○東京都のキャリアアップ講習のウェブサイト
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/zaishokusha-kunren/carr_up/

また、年金は、本来65歳から受け取り始めますが、繰り下げ受給を選択すれば、66歳以降の希望する時点に受給開始を遅らせることができます(※)。受給開始を1カ月遅らせるごとに金額は0.7%増え、上限の70歳まで遅らせると42%増額されます。増額された支給額は一生続きます。

(※)遺族年金や障害年金、厚生年金保険などによる年金を受給している人など、繰り下げることができない場合もあります。

65歳以降も働いて収入を得られる(あるいは当面の生活費に余裕がある)ならば、受給開始を遅らせるとよいでしょう。老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金は、それぞれ違う時期に繰り下げることもできます。

さらに、年金に上乗せをしたい場合は、積み立てたお金は60歳まで引き出すことができませんが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」で年金額を上乗せすることも検討して下さい。

iDeCoには、掛け金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時にも控除あり、という大きなメリットがあります。これらの税制優遇措置によって、定期預金などに貯金するよりも有利に老後資金を準備できます。

井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門にし、解説している。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員。経済エッセイストとして活動。近著に「一般論はもういいので、私の老後のお金『答え』をください! 」(日経BP)、「『このままじゃ老後の資金が足りない!!』と不安になったら読む『お金』徹底見直し術」(PHP研究所)、「100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる!」(集英社)、「届け出だけでもらえるお金」(プレジデント社)、「受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル」(宝島社)など。