2020/10/27

LINEの山田美央さんは18年、自社メディアの企画・編集の部署から法務室に移った。法学部の出身だが、いったん編集者などとして働き、幅広いメディアを提供するLINEに転職。コンテンツの配信にあたり、著作権の保護などで法務室と接点を持った。事業を後方から支える法務に興味が湧き、社内公募制度を使って手を挙げた。

「現場の経験があるからこそどういう法的な落とし穴があるのかは、法務室の社員よりも肌感覚でわかる」。これまでのキャリアが生きていると実感する。

現在は電子マンガやゲームなどのサービスを提供する際の契約書の作成や、現場からの著作権管理などの法律相談の対応が主な業務だ。法務の仕事は性差を感じることが少ないという。「弁護士資格のある女性社員の働き方を手本にしたい」と意欲をにじませる。

SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みや次世代技術のルールづくりなどで、法務の仕事の重要性は高まっている。経済産業省は昨年11月、競争力強化に向けた法務機能のあり方について報告書をまとめた。女性や外国人らを積極的に活用することの必要性を指摘。各業界で活躍している女性の法務担当者をモデルとして紹介した。

法務部は従来、ほかの部署との交流が少ない「たこつぼ」のようなキャリアになりがちだった。多様な経歴を抱えた女性社員が増えることで、法務部門の活性化につながる面もあるようだ。

書籍類電子化、在宅促す

書棚の六法全書と首っ引きで書面を作成――法務部にそんなイメージがあるとしたら、それは過去のものだ。今は大半の書籍類で電子化が進む。自宅でもパソコンで必要な資料などを見られるようになった。4月の緊急事態宣言を受けてJILAが会員である社内弁護士の勤務状況を調べたところ、在宅勤務者が9割に上った。

法務部の仕事は社内のやりとりが中心であり、在宅勤務との親和性は高いようだ。小さな子供を育てる人にも働きやすい面があるのだろう。三井物産の岩本さんは毎日、在宅勤務中の部下とコミュニケーションを取るよう心がけているという。法務で実力を発揮する女性がさらに増えれば、社内に女性活躍推進の好循環が広がりそうだ。

(世瀬周一郎)

[日本経済新聞朝刊2020年10月26日付]