Men's Fashion

ノータイ・スーツがキマる簡単チーフ3種 映像で解説

1からはじめる装いの教科書

2020.10.24

メンズスタイルの基本を分かっていれば、クールビズやテレワークなど、あらゆるシチュエーションで装いを決められる。ニューノーマル(新常態)にもスマートに対応できるはずだ。「服の着こなしもファッションも、ビジネススキルの一つ」と捉えるファッションディレクター、森岡弘さんとともに、ワンポイントで変わる着こなしのテクニックや小物の選び方などを、映像を交えて解説していく。今回は「チーフの装い方」だ。




「ニューノーマルの時代になり、ビジネスではカジュアルなインナー、ネクタイのないスタイルが当たり前のようになってきている。そんなとき、装いのポイントとなるのが、このポケットチーフ」と森岡さん。

前回の連載「ボタンダウン 見栄えのカギは襟のロール」でも語っていたが、「ノーネクタイでアイテムを1つ取るなら1つ足す」は、森岡さんが勧める着こなしのポイント。ボタンダウンの襟のロール同様、華やかな胸元のポケットチーフをプラスすることで、ちょうどいいおしゃれな着こなしをかなえてくれるのだ。

「キザに見えるのではないか」「カッコつけてると思われないか」と、チーフをさすことに気後れしまう人もいるが、「ドレスコード的にもNGではなく、フォーマルシーンにおいては正解であることを覚えておいてほしい。もちろん、ビジネスシーンでは、チーフの素材や柄、さし方など、状況によって一定の配慮は必要になるが、ネクタイのないスタイルで物足りないな、と思ったら自信をもって堂々とトライしてほしい」という。

森岡流チーフの畳み方、さし方3種

ポケットチーフは畳み方、さし方で雰囲気がガラッと変わる。オーソドックスなのが、TVフォールド(スクエア)、パフドスタイル、クラッシュなどだ。「ビジネスではTVとパフが多い。ただし、クラッシュはパフと同じ畳み方でできるので知っておくと応用が利く」と森岡さんはすすめる。TVとパフのほか、クラッシュにパフを組み合わせたパフドクラッシュの3種のチーフの畳み方、さし方を映像で解説する。

「TVフォールドのさし方」

1 チーフを広げ、2つに折る。

2 さらにポケットの幅に合わせて折る。

3 チーフがポケットから1~2cmでるように、ポケットの深さに合わせてチーフ下を折り上げる。

4 チーフをポケットにさし込んで調整する。

TVの名称は、ニュース番組でアンカーマンがスーツの胸ポケットから四角く畳んだ白いチーフを少しのぞかせてさしていたことに由来するといわれている。「ドレッシーでフォーマル、オールマイティな定番チーフ。過度な印象を与えず、さりげなくスーツスタイルに映える。折り畳むのも非常に簡単でまず試してみたい」と森岡さん。カラーは白ベースが基本。素材は形が崩れにくいリネンやコットンがお薦めだ。

「パフドスタイルのさし方」

1 チーフを広げ、片方の手の指でチーフの中央部をつまんで持ち上げる。

2 もう片方の手でチーフの真ん中をつかみ、もう一折りする。

3 そのまま折り目を上にしてポケットにさし込む。

パフは折り目のつかないシルクのチーフがお薦め。ポケットチーフの中央部をつかみ、そのままポケットにさし込むだけで、華やかな雰囲気が出る。森岡流はさらにもう一折りし、折れた部分を上にしてポケットにさし込む。「一折りすることで、柔らかな丸みが出て胸元が立体的になる」という。

クラッシュはパフを天地逆にしてさし込むスタイル。チーフの角が上にきて、花が咲いているように見える。「日中だと華やかすぎることもあり、夜にちょっとした会合があるというときに、昼間していたTVやパフのチーフをこちらにさし替えて使ってみるのも面白い」と森岡さん。

ただし、森岡さんがよく楽しむクラッシュは、パフを組み合わせた森岡流のパフドクラッシュ。パフの丸みのあるチーフとクラッシュのとがったチーフの四隅が重なり合ってポケットからのぞくスタイルが美しい。

「パフドクラッシュのさし方」

1 片方の手の指でチーフの真ん中をつまんで持ち上げる。

2 もう片方の手でチーフの中程をつかみ、逆さまに持ち替える。

3 このままさすと花が開いたようなクラッシュのスタイルになるが、下から折り返すと、丸みのあるパフのようなシルエットも併せて楽しめる。

「難しいように思えるが、私も畳んでさすたびに胸元の表情は変わるので、それを楽しんでいる。ポケットチーフのさし方に、本来ルールはないので、自分流というのを探してもいい。きれいに整えすぎてもがんばっている感じがしてしまう。何も考えずにさっと胸ポケットに押し込んでキマっているのがいちばんカッコいいと思う。だが、その形を作るために実際には計算や経験が必要で、まずはいろいろトライしてみてほしい」と話す。

左からシルク、コットン、リネンのポケットチーフ。素材によって表情が違ってくる

森岡弘(もりおか・ひろし)

グローブ代表、 ファッションディレクター&スタイリスト 早稲田大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)入社、「メンズクラブ」編集部に所属。退社後、株式会社グローブを設立し、著名人のスタイリングや広告のファッションディレクションなどを手がける。講演も多数。NIKKEI STYLE Men's Fashionの夏の装い直前講座のトークショーにも出演した。2020年からYouTubeで「森岡弘の着分は上々」を配信

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